次のオーストラリア戦で、勝ち点3を取りこぼすようなことがあれば、最終戦を待たずにハリルホジッチを日本代表監督から解任すべきだと思う。
ハリルホジッチといえば、選手起用や彼自身のエキセントリックな言動が注目されがちではあるが、個人的にはあまり気にしていない。
選手起用に関しては、「今調子のよい選手を使う」のも「実績のある選手を使う」のも、どちらも間違いとは言えない。言動に関しても、彼なりの選手操縦術として捉えるならば、そういう手法もありかなとは思う。
しかし、彼を積極的に支持できるかと問われれば、答えは“否”である。理由は単純で、「勝つべき試合に勝てない」からだ。
振り返ってみれば、二次予選“初戦”のシンガポール戦、00の引き分け。最終予選“初戦”のUAE戦、12の敗戦。いずれも“初戦”という大事な試合、しかもホームで勝ち切ることができなかった。
かつて、岡田武史監督やザッケローニ監督も批判に晒されたが、二人とも最終予選の初戦で勝利している。長い予選、全勝すべきとは言わないが、「勝つべき試合」というものは存在する。ホームでの初戦というのは、そういう位置づけになるはずだ。
その「勝つべき試合」でチームを勝たせられない指揮官が、日本代表の監督として適しているかどうか非常に疑わしい。
では、なぜハリルホジッチの率いる日本代表は、「勝つべき試合」で勝てなかったのか。それは、予選という舞台で何ができて何ができないのかという見極め、そして“割り切り”が足りなかったからだと私は考える。
Jリーグの試合を見ている方であれば、よく分かるかと思う。上位チームと下位チームの対戦では、意外に僅差の試合になることが少なくない。
考えてみれば、当然の話だ。下位チームは、格上が相手の時には、守備に人数を割く。ワンチャンスで1点取れれば儲けもの、スコアレスドローでもOK——このような考え方で試合に臨む。そういう相手に、きれいに崩して大量点を挙げるなど、簡単にできるものではない。
これはW杯上位クラスのチームでも同じことだ。前回準優勝のアルゼンチンは、グループリーグでイラン相手に終了直前まで00と苦戦を強いられていたし、日本代表も初出場の時は、そのアルゼンチンを相手に01と健闘している。
にも関わらず、日本代表は格下相手に大量点で勝たないと、勝っても批判される傾向がある。もちろん内容の良し悪しを問うのは必要なのだが、その問い方が問題だ。一番気になるのは、次のような論調だ。
『セットプレー“でしか”点が取れない(流れの中では点が取れない)』
『引いて守る相手を崩せていない』
繰り返すが、得点は二の次で守備に人数を割いてくる相手に、きれいに崩して得点することなど簡単にできるものではない。その無理なことをやろうとして、失敗している——これが今の、さらに言えば過去の「勝てなかった時期」の日本代表に共通する特徴ではないか。
こう考えれば、改善策も自ずと見えてくる。すなわち、「きれいに崩さなくても」点を取る方法を見つけ出し、実行すれば良い。具体的には、ぱっと思い付くだけでも次の三つが考えられる。
セットプレーを磨く。
ドリブラーを重用する。
ミドルシュートの精度を上げる。
個人的には、特にを強く推奨したい。単に直接FKを決められるようにするだけでなく、トリックプレーを使ったり、こぼれ球を狙ったり……というふうに、セットプレーで得点するバリエーションを今以上に増やして欲しい。
、についても、セットプレーを得るための手段となる。ドリブラーがいれば、敵陣でファールを貰う確率が高くなるし、精度の高いミドルシュートを放てば、キーパーが辛うじてはじき出すしかなくなる(CKのチャンスとなる)。
もちろんドリブルからのシュート、あるいはミドルシュートで得点できれば、それに越したことはない(だから、ドリブラーである原口元気をレギュラーにしたことは正解だと思う。あとは大迫勇也、清武弘嗣はミドルシュートを狙えるはずだ。特に清武はセットプレーの精度も高いから、是非代表に復帰できるようパフォーマンスを上げて欲しい)。
今の日本サッカーは、決して弱小ではないが、まだまだ世界のトップクラスと比べると差がある。そのトップクラスでもできないことをやろうとして、大事なW杯本大会の出場を逃すなど、本末転倒である。
とにかく、もう少し「できること・できないこと」を整理してから、ラスト2試合の戦いに臨んで欲しい。そういう“割り切り”が、日本代表に一番足りないものだと思う。