南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

あのミスよりも、気になったこと  浦和レッズ大宮アルディージャ戦より

 確かに、やってはいけないミスである。宇賀神友弥にしても、遠藤航にしても、相当責められても仕方がない。あの1プレーが、失点に直結してしまったのだから。

 しかし、今季の浦和レッズは、見ていて思わず「何でだよっ」と言いたくなるような、単純なミス絡みの失点があまりにも多い。

 これはザッケローニ監督時代末期の日本代表にもよく見られた光景だが、一度ならず、二度も三度も続いているとなると、これは個人のミスということで片付けられる問題ではなく、そのチーム自体が“ミスを犯しやすい”状態、戦い方になってしまっていると捉えるべきではないかと思う。

 あのミスの場面以上に、とても気になったことがあった。

 浦和が21とリードして迎えた終盤である。1点を追う相手の大宮アルディージャはもちろん、リードしている浦和も追加点を取りに行く意識を強く保ち、お互いにチャンスを作る。いわゆる「オープンな展開」で、見ていて面白いと言えば面白かった——中立な立場で観戦する分には。

 だが実は、ここにこそ……今の浦和の問題点が集約されているように思えてならない。

 ビハインドを負う大宮が、浦和を押し込んでいるというなら分かる。ところが実際は、浦和も大宮も“お互いに”攻め合っていた。

なぜ「点を取らなければならない」相手に付き合って、こちらも攻め込もうとするのか。別に引いて守る必要はない。じっくりとパスを回しながら時計の針を進め、相手が無理にボールを取りに来たら、縦パス一本で裏を狙えば良い。

リードして終盤を迎えても、まだ同じように攻め続けている。それ自体が、今のチームとしての余裕のなさ、どこかフワフワした状態でプレーしていることの表れではないか。

 長年サッカーを見ている人なら分かるだろう。どちらかが一方的に攻め込んでいる展開というのは、案外点が入りにくいものだ。これはずっと攻められていると、むしろ守ることに意識を集中しやすいからである。

 逆に一番点が入りやすいのは、いわゆるオープンな展開である。カウンターの応酬になり、少ない人数で相手の攻撃に対応しがちになるということもあるが、こういう状況では気持ちも前掛かりになるため、守備の意識が薄くなりやすい。そう——相手と攻め合った時点で、浦和は自ら「点を取られやすい」状況を作ってしまったのだ。

 案の定、浦和は88分に同点弾を浴びてしまった。GK西川周作のポジショニングの不味さを指摘する声もあるが、あの展開では、いずれ失点していた可能性が高いと思われる。

 さらに言えば、気持ちが前掛かりになると……ミスも出やすい。

 本当に現状を良くしたいのであれば、試合中のミスをその選手個人の問題として片付けるのではなく、“ミスが出やすい原因”を探り、ミスを無くすためにチームとして取り組むべきである。

 あの場面で言えば、リスタートの際に「インプレ—だぞ」「集中しよう」というふうに、選手間で声を掛け合う習慣があったのかどうか。なかったのであれば、宇賀神と遠藤だけの責任ではない。

 もっと言えば、この試合……レギュラーの槙野智章が欠場し、いつもと3バックのメンバーが違う。こういう時は、そもそもミスが起こりやすいことを想定して、普段以上に“確認”に気を配る必要があったはずだ。

 このように考えていくと、あのミスそして監督交代後の重要な試合に勝ち切れなかったという結果は、必然だと言わざるを得ない。

 戦術や選手起用以前に、今までおざなりにされてきた部分が、かなりあるように見受けられる。ここが改善されない限り、復調は難しいのではないかと思う。