幾多の紆余曲折を経て、我らが日本代表はW杯のベスト16へと進出した。そして明日未明、初のベスト8入りを賭け強豪・ベルギーと対戦する。
さて、今回のように世界大会で日本代表が見せると、決まって“自称”サッカー通の人達が、したり顔で次のように言ってくる。曰く、日本が勝てたのは運が良かったからだ。サッカーはそんなに甘くない、次は絶対負ける。……
私は言いたい。サッカーを甘く見ているのは、一体どっちだ――と。
サッカーは、人種・宗教その他文化を問わず、世界共通で理解され世界中の人々が熱狂する、唯一のスポーツである。その理由を、“自称”サッカー通の人達は、一度でも考えてみたことがあるだろうか。
もちろん、たった一個のボールさえあればできる、極めてシンプルなスポーツだからということが大きい。だが、もう一つ挙げるとするならば――それはサッカーの持つ「公平性」にあると思う。
サッカーとは、簡単に言えば「相手からボールを奪い、敵陣までつなぎ、ゴールに蹴り込む」だけの単純なスポーツだ。その単純さ故、様々な“アクシデント”が生じる余地がある。どんなに上手くつないでもゴールに入らなかったり、苦し紛れに蹴ったボールがそのまま入ったりもする。そして、上手いチームが必ず勝つとは限らない。格下のチームが格上の相手を倒すチャンスが、他の競技と比べ大きいスポーツなのだ。
W杯の歴史を紐解いてみても、強豪が“まさかの敗戦”を喫したケースは少なくない。下馬評は、あくまでも下馬評に過ぎないのだ。月並みな言い方になるが、サッカーの試合は「やってみないと分からない」ことが多い。
こう考えれば、日本が「絶対負ける」「勝つ確率はゼロ」などという意見が、いかに暴論かということが分かるはずだ。もちろん、私も「戦力的に分が悪い」と感じているが、日本が何もできないほど絶望的な差があるとは思わない。日本代表がそんなに弱いチームなら、そもそも決勝トーナメントに辿り着けなかったはずだ。
絶対ということはない。どのチームにも、必ずチャンスがある。それがサッカーというスポーツの難しさ、奥深さであり、そして面白さでもある。
断言しよう。日本が「絶対負ける」「勝つ確率はゼロ」などと口にする者達の方が、サッカーを“甘く見ている”のだ。サッカーという競技の本質を、彼らにはもう一度学び直してもらいたい。