南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

W杯で得た、未来への大きな収穫――日本サッカーがようやく手にした”スタイル”と勝つための「必要条件」

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 ベルギー戦に関して、敗因などを色々と述べるのは容易い。しかし、今さらあまり意

味をなさない気がする。

 

 もちろん選手交代やシステム等、私にも正直解せなかった部分はある。もっとああすれば良かった、こうすれば良かった……ただそれは所詮、現場を知らない者の戯言、結果論の域を出ない。それよりも、もっと根本的な部分から、ロシアW杯における日本代表の挑戦を総括してみたい。

 

 今大会における最大の収穫は、日本代表が勝つための“必要条件”が明らかになったことだ。具体的には、「運動量」「コンビネーション」「意思統一」である。

 

 まず「運動量」――特殊な状況となったグループリーグのポーランド戦を除き、いずれの試合でも日本代表はよく走れていた。運動量の下支えがあるからこそ、攻守ともに数的優位な状況でプレーすることができる。特にセネガル戦は、完全に相手を走力で圧倒していた。ベルギー戦も土壇場で力尽きたが、どの選手も献身的に動き回り、最後まで相手を苦しめ続けた。

 

 過去の五大会を見ても、“走れた”試合では、日本代表は格上相手でも比較的好勝負を演じている。初出場だったフランス大会でさえ、強豪・アルゼンチンを1点に抑えることができた。身も蓋もない話だが、コンディションさえ整えば「何とかなる」のだ。

 

 逆に言えば、走れないと「話にならない」ということ。惨敗したドイツ大会とブラジル大会では、「運動量」で相手を上回ることができなかった。いずれも大会後に、コンディショニングの過程でミスがあったことが指摘されている。

 

 次に「コンビネーション」――今大会、四試合で6得点とW杯における最多得点を叩き出せたのは、香川真司乾貴士長谷部誠ら複数の選手が“崩しのイメージ”を共有し、ピッチ上でコンビネーションという形で表現できたことが大きい。

 

 過去の大会と比べ、とりわけ際立っていたのが、乾や原口元気のようなドリブラーの台頭である。これまでショートパス一辺倒だった日本代表に、ドリブルというアクセントが加わることによって、相手守備陣は的を絞りづらくなった。

 

 そして「意思統一」――今大会の日本代表は、チームとして「前からプレッシャーを掛けていく」というコンセプトの下、最後までブレることがなかった。過去の大会においても、たとえば初出場のフランス大会や南アフリカ大会では「弱者のサッカーをする」という点で意思統一を図ってはいたが、今回はそれがよりリスクの高い、言い換えれば「勇気を必要とする」部分でもなされていたことに、日本代表の成長が見られた。

 

 とりわけ意義深いのは、今大会の四試合を以って「このようにすれば、勝てる可能性がある」という戦い方を、日本サッカーに関わるすべての人が具体的なイメージとして共有できたという点だ。長年言われてきた「日本サッカーのスタイル」を確立させること、その実現に大きく近づくことができたのである。

 

 目指す形さえ明確になれば、後はそれに則ったチーム強化を行っていけば良い。A代表だけでなく、育成の段階まで「どんな選手を育てるべきか」という方針が定まる(例えば、今後もドリブラーの育成は重視されるだろう)。これまた散々批判されてきた、「強化の方向性を時の代表監督に丸投げする」こともなくなるだろう。

 

 三度目のベスト16という結果以上に、これからの日本サッカーの未来を形作っていく上で、非常に大きな意味を持つ大会だったと思う。

 

 ただし――収穫と同時に、精一杯戦ったからこそ浮き彫りになった、大きな課題も見付かった。それについては、項を改めて論じることとしたい。