南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

<私選>夏の甲子園・平成の名勝負ベスト10(前編)

 ※ツイッターも時々呟いています。今の時期は、高校野球の話題が多くなっています。

 

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 全国高校野球選手権大会は、今年で100回目を迎える。さらに、今大会が平成最後の甲子園大会となり、まさに節目の年だ。さて、当ブログでも100回目の夏を記念(?)して、特別企画を実施する。

 

 題して、『<私選>夏の甲子園・平成の名勝負ベスト10』――かなりベタな内容だが、高校野球ファンにとって、この手の話題は語り尽くせないものだ。“私選”とあるように、選考基準はまったく私の個人的な思い入れによる。また、例えば1998年の横浜-PL学園や2006年夏の早稲田実業駒大苫小牧のように、あまりにも有名な試合はあえて選ばなかったものもある。悪しからず、ご了承ください。

 

 なお、我が沖縄県の代表校が関わる試合に関しては、別エントリーにて改めて書く予定のため、今回はあらかじめ除外している。

 

第10位 熊代商業(秋田) 5-3 神村学園(鹿児島) 【2011年・一回戦】

            ~ 選出理由 ~

 夏の甲子園大会で、13年間初戦敗退が続いていた秋田県。その連敗を止めたのが、前年夏の大会で鹿児島実業に0-15と屈辱的な大敗を喫し、リベンジに燃えていた熊代商業という展開がドラマチックだ。

 熊代商ナインは、鹿実戦のスコアを常にベンチに貼り、屈辱を忘れないようにしていたそう。そして待ちに待った夏の甲子園初戦――なんと相手は、鹿実と同じ鹿児島県勢の神村学園。この願ってもない巡り合わせが、熊代商ナインに力を与えたことは想像に難くない。中盤まで1-3とリードを奪われる苦しい展開ながら、粘って逆転勝ち。

 二回戦でも英明(香川)を下し、大健闘の夏2勝を挙げた。

 

第9位 聖光学院(福島) 1-0 広陵(広島) 【2010年・二回戦】

           ~ 選出理由 ~

 甲子園常連校になりながら、ずっと「強豪には勝てない」と言われていた聖光学院が、この年の選抜4強、過去には二度の選抜優勝経験を誇る掛け値なしの強豪・広陵を破った試合。

 決して相手の不調に助けられたわけではない。得点こそ相手のミス絡みだったが、聖光・斎内、広陵・有原の両投手がベストピッチングを披露する、緊迫した投手戦の末、堂々と勝ち切って見せた。その戦いぶりは、初出場時に同じ初出場校だった明豊(大分)に0-20という歴史的大敗を喫した過去が、信じられないほどだった。

 聖光が、まさに強豪校の仲間入りを果たした一戦である。

 

第8位 東北(宮城) 1×-0 平安(京都)※延長十一回 【2003年・三回戦】

         ~ 選出理由 ~

 今やメジャーリーガーとなったダルビッシュ有の、まだ粗削りながら大きな可能性を感じさせた試合。

 相手の平安も、好投手・服部大輔を擁し、日大三高明徳義塾を立て続けに破り勢いに乗りつつあった。当時のダルビッシュは好不調の波が激しく、不調時には案外脆かったから、私は平安有利と見ていた。

 ところが蓋を開けてみれば、ダルビッシュは絶好調。十一回を投げ被安打2、15奪三振と完璧な投球内容。一方の服部も17三振を奪う白熱の投手戦となったが、最後は東北が押し切った。

 

第7位 駒大苫小牧南北海道)10×-9 青森山田(青森)【2006年・三回戦】

               ~ 選出理由 ~

夏の甲子園3連覇を狙う駒大苫小牧の主戦・田中将大。初戦(南洋工業戦)の投球ぶりから、明らかに不調であることが伺えた。

 迎えたこの試合では、とうとう先発マウンドから外れる。試合は先発の岡田が二回に捕まるなど、前半五回を終えて2-7と5点ビアインドを負う苦しい展開。しかし、六回以降の猛追で同点。九回表に勝ち越しを許すも、その裏一死から、中沢の劇的な一発で再び追い付き、直後に連続短長打でサヨナラ勝ち。

 内容的には完全に「負けゲーム」だったが、甲子園で幾度となく披露してきた駒大苫小牧の“ミラクル劇場”が、またしても炸裂。この試合がなければ、早稲田実業との名勝負もなかっただけに、歴史を左右する重要な一戦となった。

 

第6位 明徳義塾(高知) 7-6 常総学院(茨城) 【2002年・準々決勝】

           ~ 選出理由 ~

 今なお議論の的となる松井秀喜の四打席連続敬遠・星稜戦や、球史に残る大逆転負けを喰らった横浜戦に象徴されるように、甲子園大会ではそれまでずっとヒール役、よく言えば“名脇役”のポジションだった明徳義塾が、初めて「主役」の座を射止めた一戦。

 序盤で4-1と優位に試合を進めながら、翌年に全国制覇を果たすことになる常総の粘りに苦しみ、八回表を終えて4-6と逆転を許してしまう。

 しかし、ここから“明徳劇場”の幕開けだった。八回裏、2番沖田の2ランで同点とすると、続く3番森岡良介が連続アーチを放ち、逆転。この劇的勝利で頂点への道筋を掴んだ明徳義塾は、ここから圧倒的な強さで勝ち進み初優勝を果たす。幾多の紆余曲折を経て、ついに四国の名門に歓喜の瞬間が訪れた。

 

 第5位~第1位は、後編にて発表する。