南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

 その“危機感”が、“勝利への渇望”があれば、何とかなる――鹿島アントラーズ、喧噪の果てに

 

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 昨年末から、私は憤っていた。

 

 優勝を逃したから……では、ない。鹿島アントラーズというチームが、「貪欲に勝利を目指す」という自らの哲学を、見失いかけているように映ったからだ。

 

 DAZNが参入し、賞金額の大きさから「(勝ち組・負け組が分かれてくるので)ここで優勝しなければならない」と宣言しながら、土壇場で優勝を攫われた“素人監督”を引っ張る。中位を彷徨う状況から立て直した実績を認めるにしても、肝心な所で勝ち切れなかった弱さを認め、ヘッドコーチを招請するなど何らかの手を打つべきだったのに、それもしなかった。案の定――迎えた今季は、開幕から低調な試合が続き、現時点で下位に沈んでいる。

 

 あの“敗戦”のツケは、かなり大きい。それを直視しなかったことが、「勝ち点72も取れたのだから」と言い訳に逃げたことが、巻き返しを誓ったはずの今季、さらなる低迷につながった。

 

 悪い流れは止まらない。前コーチの不祥事発覚による辞任。植田直通の海外移籍は仕方ないにしても、10番を託された金崎夢生までチームを去る。そして前節は、昌子源の負傷。……むしろ連鎖していく。

 

 もっとも、それだけではなかったらしい。

 

 ケガの功名だろうか。前コーチの後任として就任した、黒崎久志氏の指導の甲斐あってか、再開後は攻撃陣が爆発した。守備面ではジュビロ磐田戦以降の三試合を見る限り、依然として課題が残る。それでもチームとしての戦い方は、試合を重ねるにつれ、少しずつ整備されつつあるように感じた。改善が見られるということは、改善しようとする“意思”と“力”は、今なお残っているということだ。

 

 鹿島アントラーズは、まだ死んでいない――それだけは分かった。

 

 今後、鹿島はさらなる補強を進めるようだ。そして何と言っても、来月にはレジェンド・ジーコがTDとして復帰する。彼の指導力や対外的な交渉力に期待するのは当然だが、ジーコを呼び戻した裏には、フロントが“危機感”を抱いていたからに他ならない。このままではマズイ、勝てない……と。

 

 その“危機感”が、“勝利への渇望”があれば、何とかなる。

 

 他のどのチームよりも、貪欲に勝利を目指すというのが、鹿島の根本姿勢、チームとしての哲学のはずだ。たとえ結果は出なくとも、その哲学を見失わない限り、私は彼らを信じたい。