南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

興南ナインに何より望むことと、一回戦の展望

 

人気ブログランキング

 

 もちろん勝つに越したことはない。だがそれ以上に、私が興南ナインに期待したいことは、「勇気を持って戦うこと」である。

 

 昨夏の甲子園大会・一回戦で、興南智弁和歌山に6-9で敗れた。三回裏に望外の6点リードを得たものの、中盤以降に覚醒した智弁打線の猛攻を止められず、なすすべなく失点を重ねる。スコアこそ3点差だったが、内容的にはそれ以上の惨敗だった。

 

 6点差をひっくり返される屈辱よりも、ずっと残念だったのが、興南の選手達から“気迫”が感じられなかったことだ。とりわけ投手陣。智弁各打者の鋭いスイングを目の当たりにして、完全に腰が引けてしまっていることが、テレビ画面からも見て取れた。投球が外一辺倒になり、好き放題に狙い打ちされる……こうなっては、もはや勝ち目はなかった。

 

 だから今年は、最後まで勇気を持って立ち向かって欲しい。“全国”では、県大会よりもずっとハイレベルな相手との対戦が続く。それでも臆することなく、最大限の気迫でぶつかっていく――結果はその次だ。

 

 今回も、投手陣がカギとなる。ポイントは、内外角の制球と緩急。特にインコース膝元へ、しかも“ここぞ”という場面で投げ込めるかどうか。ここまで数試合をテレビ観戦したが、どの試合でも配球が外一辺倒になると、どのチームも踏み込んで狙い打ちしてくる。高めに浮けば、下手すればスタンドまで運ばれる。……これが全国のレベルだ。

 

 相手の土浦日大は、地方大会の打率が3割8分超え。しかも二戦目以降はすべて6~8点を奪っており、力のある打線と言って良い。とりわけ好機には一気に畳みかける集中力の高さには、注意が必要だ。もっとも智弁のように、どこからでもホームランを狙えるような“怖さ”は感じない。どちらかというとオーソドックスな打線という印象だ。

 

 ただし、準決勝で2本のホームランを放っているリードオフマン鈴木健太には要警戒である。乗せてしまうと厄介だろう。下位打線の出塁を許し、得点圏に走者を置いて彼を迎える場面は、なるべく避けたい。

 

 攻撃面は、さほど心配していない。土浦日大の主戦投手・富田卓は、時折内角への制球が乱れることがある。興南の各打者が、内角をよく見極め、外角寄りにストライクを取りにきた球をセンターから逆方向へ打ち返すバッティングができれば、十分攻略可能だ。

 

 もっとも、相手投手陣の強みは、富田ともう一人、荒井勇人との二本柱で勝ち上がってきたん点だ。先発がどちらになるかは分からないが、一人が攻略されても継投で凌ぐことができる。現状の興南打線の力を見ても、おそらく4~5点が限度だろう。それ以上点を取られると、さすがに厳しい。

 

 繰り返しになるが、やはり投手陣に踏ん張ってもらう他ない。4点以内の勝負に持ち込めば、十分勝ち目はある。……と見ているが、果たして。