南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

興南、二回戦の展望――「勇気を持って」「粘り強く」戦えるか

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 まず一回戦と同様に「勇気を持って戦うこと」。さらに、この二回戦では「粘り強く戦うこと」。これら2点が、勝機を見出す大きなカギとなるだろう。

 

 木更津総合は、やはり強敵である。

 

選手個々の能力では、興南を上回る。エースで4番の野尻幸輝を中心とした、バランスの良い打線を形成する。特に春以降、かなり力を付けてきており、春季関東大会では横浜から13点を奪いコールドで下すなど、そのポテンシャルを発揮し始めている。投打の軸を担う野尻の存在が大きいのだろう、毎試合のパフォーマンスの波も小さい。

 

 とりわけ打線には、注意が必要だ。野尻だけに目が行きがちだが、一挙6点を奪った六回表には、1番東智弥が外角低めの変化球を捉えライトオーバー。そして八回表には、8番大曽根哲平が低めの直球をやはりライトへ鮮やかに弾き返した。

 

どの打者も右方向へ打ち返すバッティング技術、状況に応じたケースバッティングを身に付けている。この点、パワーはあったものの、県大会レベルを脱しきれない“青さ”のあった土浦日大よりも、経験豊富で厄介だ。

 

 繰り返すが、選手個々の能力では相手の方が上である。だがそれでも、興南が“知性”で対抗し上回ることができれば、十分勝てるチャンスはある。

 

 右打ちが得意な打線というのは、バッテリーの配球がアウトコース一辺倒になると、必ず狙い打ちしてくる。たとえ低めを突いたとしても、きちんと捉えれば一・二塁間を破っていく。力んで高めに浮けば、フルスイングされ長打となり、一気に大量失点だろう。

 

 だから、勇気を持ってインコース、それも低めに投げ込めるかどうかがポイントとなる。インコースを攻めてくる印象を持たせた上での、アウトコース。さらには変化球も交えて緩急も使い、とにかく相手の各打者に「自分のスイング」をさせない工夫が必要だ。

 

 しかし、興南バッテリーがやるべき事を遂行できたとしても、やはり強打のチーム。少しでも甘く入れば捉えられるだろうし、何度かピンチを招くシーンはあるはずだ。少なくとも、3~4点の失点は覚悟しなければならない。

 

 それでも、最後まで集中力を途切れさせることなく、続けていくしかない。それが「粘り強く戦うこと」である。とにかく、しつこく食らい付いて、相手を根負けさせる……そういう戦い方をして欲しい。

 

 この試合に勝てば、きっと自信になる。自信が付けば、おそらく今年のチームは大きく化ける。一勝したことで、宮城大弥ら数人の選手は、顔つきが変わり始めている。それがもっと、チーム全体に広がれば……そうなれば、案外今年の興南は、面白い存在になれるかもしれない。