南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

「プレバト!!」<冬麗戦>分析!!――【オマケ】「“色”が見えない松岡充・岩永徹也」「実力はピカイチの立川志らく」「“新しい表現”にチャレンジし続けるNonstyle・石田明に逆襲の予感」

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 今週木曜日(2019年1月10日)よりレギュラー放送が再開したが、まだまだ語り足りない「プレバト!!」<冬麗戦>。

 

(今度こそ)シリーズ最終回となる本エントリーでは、“予選敗退組”特待生の可能性について、(性懲りもなく)三たび“自称”スーパールーキー「南風の記憶」(「俳句ポスト365」の投句では大した実績も挙げていない程度の実力なのを棚に上げた)の語りに乗せて、その「分析」を述べることとしたい。

 

 なお、今回は以下の三項目を柱に語っていく。

①まだ“色”が見えない、松岡充岩永徹也の両者。

②僅かなミスで決勝進出を逃したものの、確かな実力を誇る立川志らく

③雌伏の時を過ごすNonstyle石田明、逆襲の予感。 

 

 それでは、今回も南風の記憶」氏にご登場いただこう。読者の皆様、きっと“コイツ何言ってるんだ”“大してチカラもないくせに偉そうに”とお思いになるかと存じますが(汗)、願わくは少しでもお楽しみいただければと思います(ペコリ)。

 

 

①まだ“色”が見えない、松岡充岩永徹也の両者

 

 のっけから、失礼な物言いとなってしまうことを、許していただきたい。

 

 予選第6・7位に沈んだ松岡充岩永徹也の句だが、ワタクシすっかり忘れ去ってしまっていた。(このエントリーを書くために)「プレバト!!」の番組HPを読み返して、やっと思い出せたほどだ。

 

地下鉄を這い出吸いたる冬銀河松岡充:予選第7位)

→(添削後)地下鉄を這い出て冬銀河吸い込む

 

雪明り辿り夜汽車は寝床へと岩永徹也:予選第6位)

→(添削後)雪明り辿り夜汽車は眠りへと

 

 順位が低かったから、ではない。「プレバト!!」レギュラー放送においても、たとえ“凡人”や“才能ナシ”査定の句であっても、なぜか印象に残る句というものはあるからだ(上手い・下手はともかく)

 

 では、なぜこの二人の句の印象が薄かったのか。色々考えてみて、ようやく……この二句の共通点が見つかった。

 

 両者とも、「きれいな景色」を読もうとしている点である。

 

 俳句をある程度かじった方なら、心当たりがあるかと思う。きれいな光景を詠んだ句というのは、案外“印象に残りにくい”ものなのだ。なぜ、そうなってしまうのか――少々キツイ言い方になるが、お許しいただきたい。

 

 “きれいな光景”というのは、別に俳句でなくとも実現可能だからである。

 

 二人が描こうとした句の内容、そのまま“他の表現”の説明だと読んでも違和感ないのではないだろうか。例えばイラスト、絵画。例えば小説、エッセイ。例えば映像作品。

 

 夜汽車が眠りに着こうとする光景……もしこれがエッセイや映像作品だとしても、美しい作品となるだろう。地下鉄を出ると、夜空に冬銀河が広がっている光景……もしこれが、小説やイラストだとしても、きれいだなぁと思うだろう。

 

 逆に言えば、二人が描こうとした内容が「俳句でなければならない」理由は、ない。

 

 いや、別に「絵画や映像作品のような」きれいな光景を句にしようとすることが、悪いわけではないのだ。それで成功する場合もあるし、レギュラー回の特待生・名人試験であれば、昇段・昇格を十分狙えるかもしれない。

 

 ただ……こういう“タイトル戦”となると、なお厳しい。

 

 もっと露骨なことを言わせていただこう。「きれいな景色」というのは、誰でも詠みたがるものだ。「きれいな景色」の句というのは、実はそこら中に溢れている。……何が言いたいか、もうお分かりだろう。

 

 「きれいな景色」の句というのは――“類想類句”が生まれやすいのだ。だから、結果的に「発想が平凡」だと査定されやすい(梅沢も万華鏡という「きれいな景色」を詠もうとして、夏井先生や他の出演者から“発想が凡”だと指摘されていた)

 

 松岡と岩永……特に松岡は、まだ予選を勝ち抜いたことがない。勝ち抜けないのは、それなりに理由があるということ。

 

 端的に言えば、二人ともまだ“色”がない。

 

 作者名を隠せば、二人が詠んだ句だと誰にも分からないだろう。

 対照的に、梅沢や東国原、フジモンら名人達の句には、それぞれ際立った特徴がある。漠然と「きれいな景色」を詠もうと思っているうちは、彼らの個性的な句と勝負することは難しい。

 

 繰り返すが、漠然と「きれいな景色」を描こうとするのではなく――そもそも俳句を通して、自分は“どんな世界を描きたいのか”ということを、今一度考えてもらいたい。そうすれば、きっと名人クラスとも対等に渡り合えるようになるはずだ。

 

 

②予選敗退とはいえ、立川志らくの実力はピカイチ。

 

 一つ届かず、5位で予選敗退となってしまった立川志らく。その要因は「言葉がやや散文的になった」という、僅かなミスによるものだった。

 

働くと書くだけの為日記買う立川志らく:予選第5位)

→(添削後)働くと書く為だけの日記買う

 

 このミスにより、「添削ナシ」だった4位の千賀健永に僅かに及ばなかったが、ミスさえなければ間違いなく予選通過、さらには決勝でも上位を争っていただろう。

 

 さらに――順位こそ一つ違いでしかないが、6位・7位の岩永や松岡の句とは決定的な差がある。

 

 夏井先生が「生活者としての実感がある」とコメントされていたが、つまり「立川にしか描けない世界」、オリジナリティある句が作れていたということ。彼の句には、きちんと“色”があるのだ。

 

 なお、決勝戦に先立って放送された「番組対抗戦」でも、敗れたとはいえ立川らしい味わいのある句を詠んでいた。この時に限っては、“相手が悪かった”としか言いようがない。

 

懐手絵馬に字をかく癌の人立川志らく

 

 予選敗退者の中では、実力はずば抜けている。今回は“たまたま負けた”ということだと思う。先日のレギュラー放送(1月10日)では「現状維持」だったものの、今後は昨年と同様、安定して級を上げていくものと予想される。

 当然“名人”も十分射程圏内だろう。

 

 

③雌伏の時を過ごすNonstyle石田明、逆襲の予感

 

 ここ一年ばかり、昇格試験やタイトル戦において、なかなか結果が出ないNonstyle石田明。今回の冬麗戦予選も、残念ながら最下位に終わった。

 

 しかし、他の出演者そして夏井先生もコメントしていたように、彼の新しい表現に挑戦しようとする姿勢には、やはり光るモノがある。そして“失敗”とはいえ、石田の句には、もはや彼らしい“色”、オリジナリティが感じられる。

 

 やろうと思えば、彼ほどの実力者であれば“そこそこの句”は作れただろう。だがそれをせず、あえてチャレンジして見せた。その勇気は称えたい。ただ……新しい表現を“完成させる時間”が、少し足りなかったのだと思う。

 

電車吐きたる人人人人人(ととととと)年の果

石田明:予選第8位)

→(添削後)年の果(はて)電車は人を吐く吐く吐く

 

 以前、夏井先生が評していたが、石田の“発想そのもの”は、普通と言えば普通かもしれない。ただ、これは推測だが……彼自身、自分の“弱み”を十分理解していて、それをカバーするために「新しい表現へのチャレンジ」に取り組み続けているのではないか。

 

 「弱みをカバーする」――当然ながら、これは自分を客観視できていないと、やれるものではない。

 

秋天はがれ落ちる人にベンチに

喧噪の溽暑走り抜け潮騒

空を引っかく葉先から枯るる

 

 上記三句は、いずれも石田の過去の作品だ。破調、自由律――思えば、石田は今までも新しい表現にチャレンジし、俳句の“可能性”というものを、我々視聴者に伝えてくれた。

 

 その石田が、また別のチャレンジを始めた。次は「表記の工夫」である。<冬麗戦>にこそ間に合わなかったが、もし今後、完成するようなら……末恐ろしい。視聴者にとっては、非常に楽しみだ。

 

 ただし……チャレンジするということは、それだけリスクも大きい。当然ながら、今回のタイトル戦のように下位へ沈んでしまったり、レギュラー放送回であれば現状維持や降格が続いてしまったりするかもしれない。

 

 それでも、石田がこれまで様々なチャレンジに、ことごとく成功してきたというのも事実だ。それは単に彼が奇をてらうだけでない、前提として「俳句の基礎」を押さえているからこその、為せる業だろう。

 

 きちんと「基礎」が分かっているからこそ、「応用」も効く。石田の句は、我々にその大切な真理を、改めて思い起こさせてくれる。今は雌伏の時を過ごしているとはいえ、いずれまた……石田は何かやってくれるんじゃないのかと。

 

 “逆襲の予感”――ワタクシは、そんな期待を彼に抱いている。

 

ココがポイント!

松岡充岩永徹也の両者は、漠然と「きれいな景色」を詠もうとするのではなく、もっと自分が“どんな世界を描きたいのか”ということを考えた方が良いのでは?

②僅かなミスで予選通過は逃したものの、立川志らくの句には、ちゃんと彼なりの“色”があるし、やはり実力はピカイチ! “名人”も十分射程圏内。

③失敗に終わったとは言え、石田明の「新しい表現」にチャレンジし続ける姿勢には、目を見張るモノがある。今後の逆襲に、大いに期待!

 

スタンドの記憶 (@stand161) | Twitter