南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

NGT48の騒動とAKBグループの転落は、リーダーが矢面に立たない組織が崩壊していく“典型事例”

 

スタンドの記憶 (@stand161) | Twitter

 

 組織はこうして瓦解していく――その“見本”のような光景が繰り広げられているといっても、過言ではあるまい。

 

 NGT48、そしてAKBグループ全体に纏わる「一連の騒動」のことである。

 

 報道等によると――被害者となったNGT48・山口真帆さんは、同グループのあるメンバーが、マンションに男性を引き入れていることを知り、運営に対して改善を求めたらしい。しかし、運営側が当該メンバーに注意したところ、真帆さんに「告げ口」されたと逆恨みし、男性に真帆さんを襲撃するように唆したという。

 

 このテの話は、本当に気分が悪くなる。事情は報道されたものでしか知らないのだが、真帆さんは責任感の強い方なのだろうと思った。そんな彼女が、なぜ被害に遭い、まして「騒ぎを起こした」と謝罪しなければならなかったのか。

 

 報道が事実なら(あくまでも“事実”だと仮定した上でだが)、話は簡単だ。

 

 まず、当該メンバーを即刻“解雇”すること。

 この事案、社会人はおろか学生であっても、「懲戒免職」ないし「退学」処分が妥当だ。「当該メンバーにも将来がある」などと、生半可な同情はいらない。きっちり社会的制裁を与え、自分のしでかしたことの責任を取らされるべきだ。それが本人のためである。

 

 次に、当該メンバーを増長させた運営の人間を、処分すること。グループ内が、このようにモラルもへったくれもない状態になってしまっているのなら、グループを取り仕切る人間が変わらない限り、集団の秩序を取り戻すことはできない。

 

 そして、被害に遭った山口真帆さんを、可能な限り手当てすること。この件に関して、彼女には何の落ち度もないのだから、当然だろう。もう何のわだかまりもなくということは、難しいだろうが、少しでも不安なく活動を再開できるように、最大限の支援をすべきである。

 

 今回――大事に至らなかったのことだけが、不幸中の幸いだろう。もしそうなっていたら、あまりにも悲惨だった。グループを解散しなければならないほどの大問題となっていたはずだ。

 

 それにしても。一連の騒動に纏わる話のすべてが、あまりにも酷すぎる。一時のブームは過ぎ去ったとはいえ、依然として国民的知名度を誇る人気アイドルグループの実態が、こうもお粗末なものだったということに、ただただ呆れ果てるほかない。

 

 一例を挙げれば……AKBグループ総監督を務める横山由依さんが、運営を「厳しく注意した」という。リーダーとはいえ現役メンバーに“注意される”レベルというのは、あまりにも情けないではないか。

 

 ハッキリ言わせていただこう。AKBグループの運営側には「まともな“オトナ”がいない」のだと断じざるを得ない。

 

 ここで言う「まともな“オトナ”」とは、いざという時に「矢面に立てる」人物という意味だ。騒動に際して、例えば秋元康なり誰なりが、記者会見等を開き事情を説明したか。メンバーないし元メンバーが個別でコメントするばかりで、責任を取るべき立場の人間が総括的な話をするのを、現時点ではさっぱり目にしていない。

 

 トップの人間が、いざという時に矢面に立たない。ほとぼりが醒めるのを、ひたすら待っている。こういう姿勢を、間違いなく下の者達は見透かす。そして、一部のメンバーがルールを破り始める。これを止める者は誰もいないか、いたとしても潰される。

 

 こうして、グループのモラルと秩序が崩壊していく。もう目に見えるではないか。

 

 もっとも……AKBグループのこうした体質は、今に始まったことではない。その萌芽は、実は数年前の「恋愛禁止ルール」に纏わる批判にあったと、私は思う。

 

 当時、「恋愛禁止ルール」に関して聞かれた秋元康が、「(恋愛禁止のような)ルールを決めて覚えはない」というような趣旨のことを答えていた。この頃、AKBグループのまさに最盛期だった。

 

 秋元氏のコメントを読んで、私は思った――そう遠くない将来、このグループは壊れていくだろうな、と。なぜかと言えば、これも簡単な話で、「リーダーが責任を取らない組織ほど脆いものはない」からだ。

 

 恋愛禁止自体の是非は、ひとまず置いておく。それよりも問題なのは、「恋愛禁止ルール」の根拠を、ルールを定めた当人が“責任を持って説明しないこと”にある。

 

 私なら、こう言う――「恋愛禁止ルール」には、二つの意味がある、と。

 

 一つ目は、AKBグループが「ストイックさ」を売りにしたグループであること。AKBは、ビジュアルや歌、ダンスではなく、“普通の女の子”が一生懸命さを武器にしていく。それをファンに伝えるためには、「恋愛禁止」が欠かせないのだと。

 

 二つ目は、メンバーの“安全”を守るためだということ。公然と恋愛を認めてしまえば、ファンとメンバーの距離感がほどよく保てなくなってしまう。また中には、一部おかしい、ストーカーと化してしまうような“ファン”も混じってしまう(こんなこと、常識で考えれば分からないのか?)。

 

 以上の理由から、我々は世間で何と言われようとも「恋愛禁止ルール」を貫徹する――こうハッキリ言えば良かったのだ。

 

 そして“批判”に対しては、メンバーには事前に「恋愛禁止ルール」については説明済みであり、すでに了承の上である、と。趣旨に賛同できないのなら、どうぞお引き取り下さい。他のオーディションを受けるもよし、芸能活動をやめて“普通の女の子”に戻るもよし。すべては自由意思に任せています、と。

 

……これを“総大将”である秋元康が言えなかったことが、今日に至る“崩壊の始まり”だったと私は思う。リーダーが矢面に立たない組織は、崩壊していく。その典型事例だ。

 

 最盛期の頃は、高橋みなみ大島優子ら、創設時からAKB48を支えたメンバーが多数残っており、彼女らの支えで組織は壊れずに済んだ。

 当時のメンバーが抜けた今こそ、誰かがリーダーシップを発揮すべきだったのだが……組織“自体”を支えられる者が、今や誰もいなくなってしまった。

 

 もはや、崩壊は止まるまい。