このコーナーは、私が「俳句ポスト365」及び「通販生活―よ句もわる句も―」(いずれも夏井いつき先生が選者)に投稿した俳句を紹介します。 私の(安定の)没句と(マグレの)入選句について、自分なりに考えた結果の要因を、夏井先生が“言いそうなフレーズ”に乗せ、面白おかしく書いていきます。 私と同じ俳句初心者の皆様の参考になれば(私と同じ失敗はしないように・笑)と、あえて「恥」を晒していきます(汗)。 |
※投稿した後、一部修正を施しました(2019.3.10 /21:07現在)
兼題「菠薐草」(俳句ポスト365)
「貧血の視野に菠薐草眩し」(南風の記憶)
結果:没<凡人55点>
※例の“風流なBGM”をバックに……
夏井先生:(開口一番)モッタイナイ!(苦笑)
発想はネ、悪くないですよ。貧血のくらくらした視野に、菠薐草がどう映っているか。健康な時とは違うモノの見え方というものがありますから、そこを切り取るというのは、目の付け所としては悪くない。
何がモッタイナイかと言うとね……「視野」と「眩し」です。貧血の時、菠薐草のように濃い緑色の葉が眩しく見えると言いたいんだなということは、分かりますよ。分かりますが、コレ……別に季語が「菠薐草」である必然性は、ありませんよね。
さらに、菠薐草の緑色って、元々“強い”です。貧血だから「眩しく」見えるというのは、ちょっと弱い。もうちょっと色の薄い葉なら、良かったでしょうネ。
要するに、この句は「季語が主役に立っていない」のです。代役が他にも考えられてしまう。それが、凡人査定の一番大きな理由です。それとネ……って、あら。
ワタクシ(南風の記憶)による推敲句「かくも苦き菠薐草や貧血症」
夏井先生:……話まだ、終わってなかったんだけど(怒)。「取り合わせ」として、貧血症を持ってきた時に、季語「菠薐草」との距離が、結構近い所にあるのも問題です。
出来た句を見直す時、「映像を描けているか」ということに加えて、「季語を主役として描けているか」、さらに他の言葉と季語との“距離感”、これらに着目できるようになると、さらに上達できると思いますヨ。
【「プレバト!!」名句コーナー】
「初日記とめはねに差す光かな」(フルーツポンチ・村上健志)
一昨年(2017年1月5日)放送の「プレバト!!」―昇級・昇格スペシャル―にて、見事“2ランク昇格”を果たした村上健志の句。日記の文字の「とめはね」に目を付ける感覚の繊細さ、「とめはねに差す光」という描写の美しさとリアリティ。それが「初日記」という季語と上手くマッチしている。どこを切り取っても文句の付けようのない、素晴らしい一句である。 |