【目次】
- <はじめに>
- 1.美里工業は、“1点勝負に勝ち切る力”を身に付けて欲しい
- 2.沖水は、実質“新興勢力”。苦しい時の“拠り所”をどう作っていくか
- 3.興南は、有望な一年生左腕を温存したのかもしれない……
- <おわりに>
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- ※小説も書いています!
- <「続・プレイボール」~ちばあきお原作『プレイボール』もう一つの続編~>
<はじめに>
今日(2019.9.23)は観戦に行けなかったので、ツイッター等の情報を元に、雑感だけ。やはり優勝争いに絡んできそうな美里工業、沖縄水産、そして“古豪対決”に惨敗した興南について述べる。
1.美里工業は、“1点勝負に勝ち切る力”を身に付けて欲しい
新人大会の時点で、やや失点が多いということはあったが、あの時はまだ投手陣は調整段階だったのだろう。それでもきっちりシードを獲得し、そして“本番”の秋季大会初戦、やはり仕上げてきた。
例年力のある宮古打線に対し、七回を僅か一安打・無失点に抑える。まずは、順調なスタートを切ったと言えるだろう。
現時点で、もし美里工が来春の選抜出場を狙うのなら、やはり“1点勝負に勝ち切る力”を身に付けることが、近道だろうと思う。
彼らの打力を軽んじるわけではないが、ライバル・沖縄尚学の永山蒼を始め、全国クラスの好投手と相対すことになれば、そうそう点は取れない。
だったらいっそ、「1-0で逃げ切る」くらいに考え、凌ぎ切るための配球なり守備シフトなりを構築していけば良い。そうやって、どっしりと構えてプレーしていくことができれば、相手にはかなりの脅威となるはずだ。
2.沖水は、実質“新興勢力”。苦しい時の“拠り所”をどう作っていくか
昨秋、今春に続く、興南との“古豪対決”に圧勝した第1シード・沖縄水産。
個人的に、この結果は残念である。興南には、もう少し粘って欲しかった。沖水が強いのは分かるが、六回まで毎回失点・計10失点というのは、ちょっといただけない。
さほど力のない投手、力はあっても不調の投手であれば、今の沖水は打ち崩すだけの打力をすでに持っている。これはもう、前世代から分かっていたこと。これは沖水ナインが一番感じていると思うのだが、今日の結果は、けっして彼らの今後を保証するものではない。
彼らも来年の春、そして夏の甲子園出場を狙うのなら、本当に力のある好投手を擁するチームと当たった時、どのように戦っていくのかが問われる。
選択肢は二つ。一つは「打てない試合もある」と想定して、投手も含めた守備力を鍛えていくこと。もう一つは、「点が取れなければそれまで」と覚悟した上で、どんな好投手をも打ち崩せる自信が持てるまで、得意の打力をさらに磨いていくこと。
もちろん攻撃と守備、いずれも鍛えていく必要はあるが、軽重は掛けておいた方が良い。それは、試合状況における戦術、さらにメンタルの持ち方に影響する。
例えば、初回にいきなり無死満塁のピンチを迎えた時。
攻撃重視でいくのなら「一、二点くれてやってもいい」と考えるし、守備重視でいくのなら「なんとしても無失点で切り抜ける」と覚悟を決められる。
沖水は古豪ではあるが、実質的には上原忠監督就任により、近年力を付けてきた“新興勢力”である。
新興勢力のチームは、勢いに乗ると既存の強豪校が押し切られてしまうほどの力を発揮することもあるが、弱みもある。それはチームの歴史が浅いことから、戦い方のスタイルが、十分に形作られていないという点だ。
故に、いざ自分達が守勢に回った時、そこから立て直す術を知らない。こうなると、どうしても経験豊富な強豪校に上回られてしまう(ここ数年の美里工業も、チームとしての歴史・経験という部分で苦しんでいたように見受けられる)。
いわば「苦しい時の拠り所」をどう作っていくのかという点が、ここまで圧倒的に勝ち進んでいる沖水の、隠れた課題だと思う。
もっとも、それは沖水ナインだけが頑張れば良いのではない。やはり強力なライバル校があり、公式戦で鎬を削る経験を経た上でないと、その拠り所は生まれない。今日の興南戦が、そのキッカケになればと期待していたのだが、この展開ではちょっと難しそうだ。
3.興南は、有望な一年生左腕を温存したのかもしれない……
その沖水に、予想以上の大敗を喫した興南。ただ冷静に考えれば、(結果はショックだろうが)そう悲観する事態ではないと思う。なぜならこの試合、一つ良いことがあったからだ。
四番手で登板した一年生左腕・山城京平である。ツイッター情報によれば、最速141キロを計測し、彼だけは沖水打線を抑えていたという。
見方を変えれば、この山城の力を確認した上で、無理はさせなかった。
一ファンとしては、もちろん彼が先発し、現時点でどれくらい沖水打線と勝負できるか見たかったではある。ただ興南首脳陣としては、まだ一年生。ここで消耗させるよりは、来春以降の可能性を残した上で、オフシーズンにつなげる。そう判断したのなら、これもまた正しい。
いずれにしても、興南が近く山城を主戦に立てたチーム作りを進めるのであれば、また楽しみな存在となってくるかもしれない。
<おわりに>
ただ、やはり面白い展開になった。沖水、沖尚、美里工――現実的に甲子園を狙えるチームが、県内に三つも揃ったのは、まさに沖尚と美里工業が、九州大会で沖縄勢同士の決勝を戦った、2013年秋以来だろう。
今後、ますますハイレベルな試合が期待できそうで、楽しみである。
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