南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

【俳句ポスト365ほか】俳句歴約一年・自選ワースト&ベスト各10選

 

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1.はじめに

 

 俳句ポスト365を始め、「南風の記憶」の俳号を用いて俳句を詠むようになってから、早いもので約一年が過ぎた。

 そこで今回は、ここまでの歩みを振り返る意味で、自分が詠んだ句のベスト句(好きな句・巧くできたと思う句)とワースト句(落選した上に自分でもヒドイと思う句)をそれぞれ10ずつ選んでみた。

 特に、ワーストの10句は超初心者の頃のものなので、今読み返すと目も当てられない(笑)。しかし、ベストの10句と併せて読めば、自分でも「この一年でだいぶマシになったものだな」と正直思う(汗)。

 

2.ワースト10選

 

湖を掠め色鳥の影森へ消ゆ  俳句ポスト365・兼題「色鳥」

→ 単なる「報告・説明」の句。また湖と森、場面が変わりすぎて色鳥の印象が薄い。そう、この頃の私は“「季語」を主役に立てる”という、俳句の基本さえ知らなかったのです!(苦笑)

 さらに、この兼題では五・七・五の間を空けてはいけないという基本ルールも知らず、俳句ポスト365の月曜日の「初心者コーナー」に掲載されるという、散々なデビューであった。

 

雨の海色鳥ゆくは晴れの浜  俳句ポスト365・兼題「色鳥」

→ 単なる「報告・説明」の句。場面が変わりすぎて色鳥の印象が薄い(あれ、さっきも同じことを書いたような)。

 あと「晴れた浜」へ行くのなら、上五の「雨」はイラナイよな……。

 

菠薐草血を精製す化学式  俳句ポスト365・兼題「菠薐草

→ なんか理系っぽく(本当はド文系)、カッコよく書いた気になっていたが、単に季語の「説明」をしただけだったという……

 

たじろぐや重ね着の君凛として  俳句ポスト365・兼題「重ね着」

→ うん、「重ね着」という言葉を使って短文を作り、それを俳句っぽく仕立てただけのもの。季語が「重ね着」である必然性もない。

 

頭上へも左右へも鮃の捕食  俳句ポスト365・兼題「鮃」

→ 当時、ヒラメが海中で飛ぶことを知り、感激しました! ……はイイが、肝心の作品に落とし込む方法が分からず。これも今読み返せば、単なる季語の「説明」。

 

炬燵増え襖に妻子の声遠し  俳句ポスト365・兼題「炬燵」

→ 初心者の頃の私は、やたら「物語」を作ろうとしていた(笑)。これも、妻子との距離を感じるお父さんの寂しい日常を詠んだ句。でも、やっぱり季語が「炬燵」である必然性がない。

 

参考書離さぬ吾子よ炬燵ぬくし  俳句ポスト365・兼題「炬燵(こたつ)」

→ ⑥の句より、まだ季語「炬燵」は生きている。ただ、これも「物語」が先行しすぎている。

 あと下五の炬燵「ぬくし」の三音。夏井先生なら、「温かくない炬燵があったら、モッテコイ!」と確実に突っ込まれる(笑)。

 

俎板の鮃焼き網の大小  俳句ポスト365・兼題「鮃(ひらめ)」

→ これも「報告・説明」の句。季語が「鮃」である必然性がないし、まったく詩になっていない。

 とにかく兼題「鮃」の回では、色々とやらかした印象がある。正直、この頃はまだ俳句というものを全然わかっていなかった。

 

玉手箱埋めたか砂に這うヒラメ  俳句ポスト365・兼題「鮃(ひらめ)」

→ オイ、ふざけてるのか!(怒) どこの〇島太郎だ!!

 

ていれぎめサカナを取っかえひっかえ  俳句ポスト365・兼題「ていれぎ」

→ オイ、ふざけてるのか! (怒&二回目) まぁ、この頃考えすぎて、ちょっとオカシクなってました(言い訳)。

 

3.ベスト10選 (※俳句ポスト365の句は、すべて「人」選)

 

菠薐草青しもんじゅの五キロ圏  俳句ポスト365・兼題「菠薐草」

→ 自分の俳句歴を振り返る時、この句を抜きにしては語れない。初めて「取り合わせ」のコツをつかんだ句。「青し」という描写を、後半の措辞「もんじゅの五キロ圏」が引き立てている。

 この句を詠んで以降、安定して「人」選入りできるようになった。

 

鼓笛隊遠き病室枇杷の花  俳句ポスト365・兼題「枇杷の花」

→ 俳句ポスト365にて、二回目の人選入りを果たした句。前述の通り、初心者の頃は「物語」を作ろうとしすぎるクセがあったが、偶然にもそれが成功した(笑)。

 他の方の人選句を見ても、「病院」「薬」との取り合わせの句が多かったので、たまたまではあったもの季語のイメージはつかめていたようだ。

 しかし、やはりマグレは続かず……次の「鮃」「雪兎」では、並選に沈む(苦笑)。

 

ていれぎのこびとがミサに来さふな花  俳句ポスト365・兼題「ていれぎ」

→ 唯一「比喩」と「一物仕立て」で成功した句。ていれぎの花が、私には十字架にしか見えなかった。もしこびとがいたら、ミサに集まってきそうだなと想像して、そのまま詠んだ。しかし、「ていれぎ」は実物を見たことがなく、難しかった……

 

よじ登り落ちる寄居虫廃車群  青嵐俳談「人」選(季語「寄居虫(やどかり)」)

→ とある離島にて、実際に目にした光景を詠んだ句。個人的には「よじ登り落ちる」の描写が、リアリティがあって好き。

 また、この句も①の句と同じ型(「季語」+「季語の描写」+「その他の措辞」)を使っている。型を習得することの重要性を実感した。

 

屑籠の玩具の瞳こどもの日  俳句生活・兼題「こどもの日」

→ この句は、「こどもの日」の光景を思い浮かべた際、ふと目に飛び込んできたモノをそのまま掬い上げた句。一句を「作った」というよりも、季語の世界で「発見した」という感覚が近い。明るくてにぎやかな「こどもの日」に見つけた、少し悲しい光景。ちょっとした意外性が好きです。

 

重陽マリア観音は冷たし  俳句ポスト365・兼題「重陽

→ この頃から、俳句を「作る」というより「(季語の世界の中から)発見する」という感覚を大事にするようになった。

 マリア観音といえば、かつて隠れキリシタンの農民達が、弾圧から逃れながら密かに祈りを捧げていた歴史的背景を持つ。その悲しみの歴史を「冷たし」という短い描写に込めた。

 

幸福の手紙サイネリア増殖  俳句ポスト365・兼題「サイネリア

→ 「幸福の手紙」と「サイネリア」。まるで異質なものながら、実は両方とも“増殖するように増えていく”という共通点がある。今読み返してみても、面白い対比ができたと思う。

 またこの兼題で、初めて二句「人」選を果たすことができた。私にとっては思い出深い兼題でもあった。

 

ひきがえる洗剤の香のカルト村  青嵐俳談「人」選(季語「蟇」)

→ なぜか“怖い句”ばかり詠んでしまう私。その中でも“最恐”の一句だと思う。選者の神野紗季先生からも「心地よいはずの洗剤の香が、汚れを許さぬ排他性となり怖い」との選評をいただいた。

 カルト村。本屋で、それを題材にした漫画を見かけ、いつか題材に使いたいと思った(笑)。一度は失敗したが、この二度目のチャレンジで成功。しかし、自分で言うのもなんだが……やはりコワイ(汗)。

 

重陽泡盛は理科室のにほひ  俳句ポスト365・季語「重陽

→ 自分が過去に詠んだ句に順位を付けるとしたら、トップ2に入る。この句と⑩で紹介するトップ1の句は、よほど良い素材が揃わないと詠めない。

 この句は、小学校低学年の頃、祖母に「魔除け」(?)として泡盛を飲まされたのを思い出して詠んだ。また、当時私は理科室が好きだった。それで「泡盛は理科室のにほひ」と表現した。まさに、自分の実感が強くこもった句。

 

紅鱒の引っ掻く毒もみの川面  青嵐俳談「地」選(季語「紅鱒」)

→ 宮沢賢治の作品『毒もみの好きな署長さん』から発想した。

 この句は、「紅鱒」と「毒もみ」という二つの材料を揃えた時点で、ほぼ勝負アリだったと思う。あとは……毒もみの光景を思い浮かべた時、もがき苦しむ魚(紅鱒)の様子が、まるで川面を引っ掻いているように見えたので、そのまま描写しただけ。

 ここまで良質の材料を揃えられることは、そうそうない。初心者であっても、材料が良ければ、良い句が詠めるという典型だろう。もう一度、同じレベルの句を作れと言われたら……たぶんできない(笑)。

 

4.終わりに

 ツイッターを眺めていると、俳句を始めて一年程度の方が「自分は俳句に向いていない」とコメントされるのを、結構見かける。そんな方にこそ、見ていただきたい。初期の私が、いかに酷かったかを!(泣)

 そして感じていただきたい。人間、何事も「続けることが大事」だということを。