南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』小ネタ集⑫ -<「各キャラプロフィール」「怪盗イガラシ」ほか>-

 

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1.AC風テレビCM

 

―― アニメ「キャプテン」OP曲『君は何かができる』のBGMにのって

 

谷口:(ユニフォーム姿)野球は一人じゃできない。(どこかへボールを投げる)

 

丸井:(グラブで捕球して)でも九人そろえば、どんな強敵でもこわくない。何ごともそうだ!(またどこかへ投げる)

 

倉橋:(ミットでボールを受け)たしかにコロナは怖い。一人の力じゃ戦えない(どこかへ投げる)。

 

田所:よっと(つなぎ姿でキャッチ)。でも、みんなが力を合わせれば、必ず勝てる。(またどこかへ)

 

イガラシ:今は苦しいかもしれない。でもいつか、その努力が実を結ぶはずだ(さらにどこかへ投げる)。

 

谷口:(再び登場してキャッチ)特別なことをする必要はない。マスク、手洗い、換気。自分にできることをすればいいんだ。

 

(谷口の背後に、墨高ナインが勢揃いする)

 

ナイン一堂:負けるな、今を支える大人達!

      負けるな、未来を担う子供達!

      負けるな、ニッポン!!

 

♪エーシー、公共広告機構!!

 

<完>

 

 

2.各キャラのプロフィール(※妄想乙)

 

【谷口タカオ】

 

血液型:A型

 

得意科目:社会、体育

苦手科目:数学、英語

 

趣味:野球

 

好きな女性のタイプ:おしとやかな人

 

尊敬する人:両親

 

好きな食べ物:鯛焼き、カレーライス

嫌いな食べ物:特になし

 

将来の夢:大工

 

好きな言葉:一所懸命 がんばらなくっちゃ

 

 

【丸井】

 

血液型:AB型

 

得意科目:体育、道徳

苦手科目:数学、英語、家庭科

 

趣味:野球、映画

 

好きな女性のタイプ:キャンディーズのスーちゃん

 

尊敬する人:谷口さん(×100)、両親、渡哲也

 

好きな食べ物:薄味のもの

嫌いな食べ物:味付けが濃いもの

 

将来の夢:社長

 

好きな言葉:七転び八起き

 

 

【イガラシ】

 

血液型:B型

 

得意科目:数学、理科、家庭科

苦手科目:道徳

 

趣味:野球、料理、読書

 

好きな女性のタイプ:口やかましくない人

 

尊敬する人:両親、川上哲治

 

好きな食べ物:ラーメン、餃子

嫌いな食べ物:洋菓子

 

将来の夢:実家の中華そば屋を継ぐ

 

好きな言葉:為せば成る

 

 

【近藤】

 

血液型:O型

 

得意科目:体育(マラソン以外)

苦手科目:国語、数学、英語、理科、家庭科

 

趣味:野球、漫画

 

好きな女性のタイプ:優しくて、よく笑う人

 

尊敬する人:父、長島茂雄(※注・当時の表記です)、イガラシさん

 

好きな食べ物:ママが作ったものなら何でも

嫌いな食べ物:トマト

 

将来の夢:プロ野球選手

 

好きな言葉:おーきに

 

 

3.昔話「丸太郎」

 

―― むかしむかし。ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

(中略)桃から生まれた男の子は、顔が桃よりも真ん丸ということで“丸太郎”と名付けられました。

 丸太郎は、おじいさんとおばあさんに可愛がられ、すくすくと元気に育っていきました。

 その頃、村ではたびたび悪い鬼が出没し、人々から食べ物や金品を奪ったり、盗んだバイクで走り出す(尾崎に謝れ!)など、暴虐の限りを尽くしていました。

 そこで桃、いや丸太郎は、鬼を懲らしめるため、旅に出ることにしました。その旅の道中でのこと……

 

犬:丸太郎さん、丸太郎さん。

 

丸太郎(もちろん丸井):む、なんでえ犬か。どしたい?

 

犬(半田):鬼退治に行くのでしょう? よかったら、ボクもお供させてください。

 

丸太郎:よかろう。それなら、このキビ団子を……

 

犬(半田):あ、お気づかいなく。この先に、おいしいアイスクリームの店、知ってますから。

 

丸太郎:そ、そうか。なんだか設定がおかしいが、いいだろう。

 

―― 一人と一匹は、歩き出しました。そしてまた、道中にて……

 

猿(イガラシ):丸太郎さん。鬼退治、俺も一緒に行かせてくれませんかね?

 

丸太郎:うむ、わかった。それなら、このキビ団子を……

 

猿(イガラシ):いりませんよ。モノで釣ろうなんて、ちょっと品がよくないでしょう。

 

丸太郎:ムッ。こいつ、家来の分際でエラそうに……

 

猿(イガラシ):それと、これから鬼と戦うっていうんですから、少し特訓しといた方がいいんじゃありませんか。なにせ敵の人数は、百を優に超えると言いますし。

 

丸太郎:だいじょうぶだよ。主人公が負けるってこたぁ、ねえだろ。

 

猿(イガラシ):また、そういうテキトーなメタ発言なんかして。

 

犬(半田):あ……特訓でしたら、ここに道具が(ダンベル、懸垂、腹筋の器具がずらりと並ぶ)。

 

丸太郎:なんでこんなモノを揃えてるんだよ!

 

(パタパタと羽根の音がして)ほほほ、なにをモメておるのじゃ?

 

丸太郎:き、雉(きじ)師匠!!

 

猿&犬:誰です、雉師匠って?

 

丸太郎:おまえら、知らないのか? かつてこの村を鬼の大群が襲ってきた時、一人で撃退したという伝説の、雉師匠だよ!!

 

雉師匠(きじししょう・もちろん谷口):フフ、自己紹介を代わりにやってくれてありがとう。特訓するというなら、ワシが手伝おう。ほれ、手にこれをつけて並ぶんじゃ(ドサドサと、三個のグラブを落とす)。

 

丸太郎:な、なぜ野球!? 一ミリも関係ないんじゃ……

 

雉師匠:(すでにボールとノックバットを手に)なに言っとる。鬼をやっつけるのに、野球の素早い動きは必要だ。それと硬球に慣れることは、恐怖心を克服することにつながるんじゃ。ほれ、つべこべ言わずやるぞ!(カキ、カキ、カキ! ノックを連打)

 

丸太郎&犬&猿:よっ。ああっ、くそっ!(なんだかんだボールにくらいつく)

 

雉師匠:どうした! そんなんじゃ、鬼の大群には勝てないぞ!!

 

丸太郎&犬&猿:お、オウヨ!!

 

(木の陰から、そっと鬼がのぞいている)

 

鬼(井口):あ、あのー。そろそろ退治しに来てくれませんかね。いつまでも、パンツ一丁の格好じゃ……寒いんスけど。

 

どこかのお姫様(佐野):アハハ。だらしないなぁ、鬼のくせに。

 

鬼(井口):な、なんだとっ。きさま人質のくせに、生意気な口ききやがって。オイてめえ、いま自分がどんな立場か分かってんのか!?

 

どこかのお姫様(佐野):おまえこそ、わたしをなにもできないお姫様だと思って、油断しているな。最近のお姫様はな、かどかわされても自力で脱出できるように、小さい頃から鍛えられてるんだよっ!(みぞおちにパンチ一発)

 

鬼(井口):ぐほっ……(その場にうずくまり、気絶する)

 

どこかのお姫様(佐野):あーあ、物語が終わっちまった。

 

(ここでテレビ画面がふっと暗くなる)

 

丸井:どうです、皆さん。毎年恒例の野球部紹介ビデオ。今回は、ひと味違った形にしてみましたが。

 

谷口:(苦笑いして)ど、どうって言われても……

 

イガラシ:なんだか色々と、設定にムリがあるような……

 

倉橋:佐野のやつ、よく出てくれたな。

 

半田:顔が丸いから“丸太郎”なんて、ちょっと安易すぎるんじゃ。

 

丸井:み、みなさん! 少しはホメてくださいよっ。

 

<完>

 

 

4.怪盗イガラシ

 

―― とあるパーティー会場。各界の著名人が集まり、思い思いに談笑している。

 

丸井会長:(エラそうな袴姿で)やあやあ、諸君。本日は、我が丸井グループの一部上場祝賀パーティーにご参加いただき、ありがとう。

 

(会場から拍手が沸き起こる)

 

丸井会長:んっ(軽く手を振る)。さて、今宵は特別に、この丸井家に代々伝わる秘宝・チェリーブロッサムをご覧いただこう。

 

(会場が暗転し、スポットライトがぐるぐると回る。やがて会場の一か所が、バッと照らされる。そこには――桜の色と形をした宝石が)

 

ゲスト一同:おおっ(感嘆の吐息)。

 

丸井会長:どうです? この色艶、輝き。まるで乙女の恥じらいのようではありませんか。このチェリーブロッサムは、丸井グループ創設者の丸井銅鑼衛門(どらえもん)が、若き日にヒマラヤ山脈を登山した際、偶然発見したと言われています。その後……ウンタラカンタラ(講釈が長々と続く)。

 

(ふいに白いスモークが立ち込め、チェリーブロッサムを覆い隠す)

 

ゲストの一人:おや、これも何かの演出か?

 

丸井会長:ん? バカな……スモークを焚けなんて、指示してないぞ。

 

(その時、スピーカーから声が聴こえる)

 

何者か:ウフフフ、これがチェリーブロッサムか。噂通りの美しさだ。我がコレクションに加えるに、ふさわしい出来栄えだ。

 

丸井会長:だ、誰だ! 正体を現せ!!(青筋を立てる)

 

何者か:落ち着きたまえ。丸井会長、私はあなたのすぐ目の前にいる。

 

丸井会長:なにいっ!

 

(やがてスモークが晴れ、小柄な青年が姿を現す。全身白のスーツ、白のシルクハット、白のマント。某漫画の快投〇ッドのバッタもんの出で立ち)

 

丸井会長:……き、きさまはっ。いま日本中を騒がせている、怪盗イガラシ!!

 

怪盗イガラシ:フフフ、自己紹介の手間が省けた。せっかくのパーティーを邪魔して、申し訳ない。もう用は済んだので、とっとと引き上げるつもりだ。このチェリーブロッサム、そしてあなたのセカンドのレギュラーは、いただいたからね。では、さらばっ!

 

(またもスモークが焚かれ、怪盗イガラシは消え去る)

 

丸井会長:ま、待てこのヤロウ!!

 

―― ここは墨谷二中の体育館。イガラシ達の全国大会へ向けた合宿中。うなされる丸井を心配して、部員が集まってきている。

 

イガラシ:丸井さん、丸井さん! どうしたんスか?

 

丸井:待てっ怪盗イガラシ! 宝石はともかく、セカンドのレギュラーだけは奪われてたまるか!!

 

イガラシ:か、怪盗イガラシ? 俺、丸井さんの中で、どういうイメージなんだ……(苦笑い)

 

小室:それより丸井さん、未だにレギュラーを取られたのを夢にまで見るとは。こりゃよほど、根に持ってるようだな。

 

イガラシ:俺に言われても……(頬をぽりぽりと掻く)

 

久保:そういや丸井さん、夏休み中はよくテレビで、火曜サスペンス劇場を見てるって言ってたような。とくに怪人二十面相シリーズがお気に入りなんだと。

 

イガラシ:それで宝石を取られる夢を見てるのか。

 

丸井:こらまて怪盗イガラシ、逃がさんぞ。まて、まてったらー!!

 

<完>

 

 

5.イガラシ君のクッキング

 

(早朝5時のイガラシ宅、厨房にて)

 

イガラシ:ええと……ボールに卵を割って、砂糖を混ぜて。これをツノが立つまで、よくかき混ぜて……と。

 

(約20分間、泡立て器でシャカシャカさせる)

 

イガラシ:おおっ、ツノが立ってきたぞ。あとはこれに、小麦粉と刻んだスライスチーズを混ぜて。ケーキ型に入れて、オーブンで焼けば……

 

(約40分後……)

 

イガラシ:よし、焼けたぞ。(オーブンから出して、一かけら切って味見する)あれ、オカシイな……

 

(その時、弟の慎二がまぶたをこすりつつ、厨房に入ってくる)

 

慎二:ふあぁぁ……(あくびして)に、兄ちゃん。こんな朝早くからなにしてんの。

 

イガラシ:明日、オフクロの誕生日だろう。オフクロの好きなチーズケーキをプレゼントしようと思って、ためしに焼いてみたんだが……味がおかしいんだ。

 

慎二:材料は、なにを使ったの?

 

イガラシ:なにって……小麦粉と卵と砂糖、スポンジケーキと同じだよ。あとは冷蔵庫に余ってた、スライスチーズを細切れにして入れたんだが。もっと細かく切らないとダメみてえだな……(腕組みして考え込む)

 

慎二:に、兄ちゃん。クリームチーズって知らないのかい?

 

<完>

 

 

 

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