南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

イガラシくんの野球講座<第2回「野球に上下関係って必要なの!?」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは。墨高野球部のイガラシです。

 今日もまた、ちばあきお先生の「キャプテン」「プレイボール」ファンのみなさんに、作品をもっと楽しんでもらおうと、前回に続いて野球講座を行います。

 

 ではさっそく。今回のテーマは……

野球に上下関係って必要なの!?

 

 学生野球、特に名門・強豪と言われるチームほど、先輩後輩の上下関係が厳しいイメージです。たとえば、部活中だけじゃなく廊下で先輩とすれ違うたびに「オッス!」と一礼するとか、一年生は渡り廊下を歩いちゃいけないとか。しょーじき、何のためにあるのか分からないルールまであるようですね。

 

 ぼく自身は……好きか嫌いかで言えば、大キライです(笑)。

 

 もっとも墨二中も墨高も、そこまで上下関係が厳しいわけじゃなかったですがね。それでも墨二時代は、入部したての一年生は草むしりするとか、一年生の間は試合に出られないとかっていうルールがあって、ぼくはかなり反発しました。

 

 ま、あんときゃぼくも、ちとガキだったなと思わなくもないですが(苦笑)。何のためにあるのか分からないルールを押し付けられちゃ、そりゃアタマにきますよ。

 

 

1.もし上下関係がなかったら?

 

 ただ……ぼくもチームを引っ張っていく立場になって、いろんなヤツと接していく中で、ちょっと考えも変わってきました。ひょっとして、理不尽に思える上下関係というのも、なんつうか“必要悪”な部分もあるんじゃないかと。

 

 強いチームになればなるほど、そこに集まってくる人間っていうのは、たいがい鼻っ柱の強い“お山の大将”ってヤツが多いですよね。身近な例でいえば、近藤や井口みたいなヤツばかりってことだ。

 

 とくに井口なんて、小学生の時に先生を殴って停学になった男ですよ。あんなヤツがわんさかいるなんて、恐ろしいったらありゃしない。

 

 で……そんな集団から上下関係をなくしちまえば、どうなると思います? それこそ毎日罵り合いや殴り合いの絶えない、無秩序な状態になるのは目に見えてるじゃありませんか。

 

 ぼく? ぼくはちゃんと、年長者への礼節はわきまえてるつもりですよ。その上で、言うべきことは言わせてもらうって考えです。ま、ちと言いすぎちゃって、たまに先輩を怒らせちゃったことはありましたがね。

 

 えっ、たまにじゃない? 丸井さんをしょっちゅう怒らせてる? それはほら、あの人はすぐムキになる人なので(笑)。

 

 

2.部活動に教育的役割を押しつけすぎ!

 

 それとね。これはグチになるんスけど、たかが部活に教育的な役割を押しつけすぎじゃないかって、個人的には思いますよ。

 

 井口や近藤なんて可愛いもんで、最近じゃ敬語も使えない、あいさつもできない、要するにフツーの常識さえも身につけてないガキが増えてきてるじゃありませんか。

 こんなヤツらの根性を叩き直そうと、ちょっと厳しい指導をすれば、すぐにイジメだあ? 体罰だあ? ふざけるなって話スよ。そんなこと言うなら、家で基本的な礼儀くらい、ちゃんと躾けろよって言いたいスね。

 

 ま、グチはこれぐらいにして。あとは……厳しい上下関係を受け入れてもらうっていうのは、厳しい練習に耐える心構えにはなるんじゃないかとも思います。

 

 先輩が厳しかろうが、優しかろうが、強いチームを作ろうと思えば、やっぱりハードな練習は避けて通れないわけで。野球部の厳しい環境を承知で入部してくるヤツってのは、ちょっとやそっとのことじゃ逃げ出さない、根性のあるヤツだって、そういう見込みは持てますよね。

 

 なんにしても、入部すりゃ選手権に出られるなんて甘い考えのヤツは、こっちが厳しくしようが優しくしようが、どっちみち根を上げるんで。さっさと叩き出した方が、余計な手間が省けて効率的スよね。

 ん……みなさん、顔が引きつってますが。どうかされましたか?(苦笑)

 

 

3.チームとしての志(こころざし)次第

 

 とまあ……ぼくなりに、こうして野球に厳しい上下関係が必要な理由について、いちおう理解はできましたけど。やっぱり、ああいうのは好きになれないスね。

 

 まず、基本的な礼儀がなってない、自分のことしか考えられないヤツって……ぼくに言わせりゃ、バカなんスよ。なんでバカを矯正するために、ほかのマトモな者まで理不尽な目にあわなきゃいけないのか、どうしても腑に落ちません。

 

 それにみなさんも知ってのとおり、厳しい上下関係で見た目上はチーム内の秩序を整えたとしても、今度はその上下関係をタテに、気に喰わない後輩をいじめたりするバカも出てくるわけで。もはやそんなヤツらは、野球以前の問題だと思いますけど。どうしようもない集団は、何をしたってどうしようもないってことじゃないスか。

 

 そこへ行くと、ぼくはかなり恵まれてましたね。墨二中時代も、墨高に入ってからも、野球以外のつまらない揉め事は経験してないですし。なにより谷口さんという優れたキャプテンがいたおかげで、仲間達と「全国大会で優勝する」という目標を共有できて、それが最後まで揺らぐことはなかったですから。

 

 けっきょくのところ、そのチームの志(こころざし)次第だと思うんスよ。どんなやり方を選ぶにしてもね。

 

 今日はこんなところです。ではみなさん、また次回お会いしましょう!

 

 【関連リンク】

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