南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

沖縄勢低迷の原因は、意外に根深い!? <2021年・秋季高校野球九州大会>

 

<はじめに>

 

 今年(2021年)の九州大会において、残念ながら沖縄勢は2校とも敗退した。しかも率直に言って、いずれも完敗と言える内容だ。

 とはいえ、私は選手達並びにチーム関係者を責める気にはなれない。特にこのコロナ禍の中において、両チームともできることは精一杯やったのだろうと思う。

 

 ただ、沖縄勢が県外で勝てなくなったのは、何も今に始まったことではない。2000年代前半までは、何となく「沖尚か興南が出ればセンバツには出られる」ような期待感があった。しかし近年、沖縄高校野球をリードしてきたこの2校でさえも、勝てなくなってきた。

 

 

1.過去の成功体験を引きずらない

 

 個人的に、「良い指導者が選手を鍛えて全国でも勝てるチームを作る」という時代は、もう終わりかけているんじゃないかと思っている。

 こういう時、一番良くないのは“過去の成功体験”を引きずることだ。

 

 例えば智辯和歌山は、2000年に六試合で34失点を喫しながら、11本塁打・56得点を記録。「取られてもそれ以上に取ればいい」という極端な打撃偏重ながら、全国の頂点に立つことができた。

 

 しかし数年前から、現監督の中谷仁氏をチームスタッフに加え、バッテリー強化も図るように取り組んでいた。あの2019年夏の三回戦、奥川恭伸要する星稜と、敗れはしたものの緊迫した投手戦を演じたことは、記憶に新しい。

 そして今年。長年の取り組みが結実し、新監督になって初めての優勝を果たしたのだ。

 

2.情報の共有化を図る

 

 また最近では、技量アップのための情報を、簡単に手に入れることができる。

 何せYoutubeを開けば、元プロ野球選手や元甲子園球児が、体力トレーニングの仕方からバッティング練習のコツ、変化球の投げ方まで指南してくれる時代だ。

 

 だから――指導者一人の努力で、選手達の技量アップを図るのは、もう限界ではないかと思う。県外から投手や打撃等、専門の指導者を招いて講習会を開くとか、練習方法をまとめたDVDを各校へ配布するとか。

 

 さっき「指導者一人の努力で」と書いたが、指導者だって人間である(ついでに言えば、そのほとんどが教員である)。よほど情熱があり、家族が理解してくれる状況にない限り、すべてのエネルギーを野球に注ぐことは難しい。ただでさえ“働き方改革”が叫ばれている昨今なのである。

 

 

<終わりに>

 

 近年の沖縄勢低迷の原因は、単に選手個々人の能力の低下や、指導者の力不足ではなく、もっと根深い所にあると私は考える。今の課題を解決するには、もうしばらく時間が掛かるかもしれない。ただ勝っても負けても、私は球児達の一生懸命な姿を見るのが好きだ。たとえ低迷が続こうとも、頑張っている球児達を私は応援したい。