南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

音楽の授業で習った、辛い時に聴くと癒される曲5選 ~中学校編~

 

<はじめに>

 前回に続き、今回は【中学校編】である。

 中学校における音楽の一大イベントといえば、合唱コンクールだろう。練習開始時は、クラスみんなの気持ちがバラバラで、音楽の先生に呆れられ、放課後の練習でも一部の男子がふざけ、真面目な女子が注意しても態度を改めず、終いには先生に告げ口される……というのは、どこの学校でも見られる光景ではないだろうか。

 

 しかし、当時はかったるく、何となくこっぱずかしかった歌が、大人になってから聴いてみると、不思議と心地よく感じてしまうから不思議だ。

 

 というわけで、今回は合唱コンクールでよく曲の中から、個人的にオススメの曲を5つ紹介することとしたい。ただ……私が中学校を卒業した後も、数々の合唱曲が作られているようで、世代の違う方には分からない曲もあるかもしれない。あらかじめ、ご了承下さい。

 

◎時の旅人

 私の世代では、比較的人気の高い曲だったように思う。スローテンポの部分、アップテンポの部分のメリハリがあり、どこか切ない気分、未来へ向かって胸を高鳴らせる気分、それらすべてが合わさって、この一曲を構成している。

 

 歌詞もまた良い。題名の「時の旅人」という言葉、一体何のことだろうと思うわけである。すると時間軸が現在から、“忘れかけていた日々”から過去へと移り、その懐かしい光景が“汗をぬぐって歩いた道”“野原で見つけた小さな花”と、具体的に描写されるわけである。

 

 それにしても、この歌詞は今でも不思議に思う部分がいくつかある。まず、歌詞の途中に出てくる「君(きみ)」って誰のことだろう。友達のことなのか。それとも、人間を超越した“何かの存在”なのか。

 また、“懐かしい明日”って何だろう。この矛盾そのものの言葉は、今考えてもさっぱり分からない――まあ「詩の言葉」なので、理解しようとするのが野暮かもしれないが。

 

 とにかく、「現在」「過去」「未来」と時間軸を自由に行き来するように、歌詞が綴られている。それが「時の旅人」という意味……なのかもしれない。

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◎夢の世界を

 合唱コンクールでは、メインの曲というより、全クラスが歌う「課題曲」としてよく使われるイメージがある。曲自体も短く、メロディもシンプル。“金賞”をねらうには、あまり適さない曲かもしれない。

 

 だが、歌詞はとても詩的で、私は好きだ。

 個人的に、全体の八割程度が叙述表現で、その中に所々ポーンと感情表現が挟まれているような詩が、“良い詩の条件”だと思っている。感情表現ばかりだと、作者の思いばかりを押し付けられているようでゲンナリしてしまう。しかし叙述表現を追いながら、いつの間にかその歌の世界に引き込まれた状態で、ふいに感情表現を目にすると、ついその思いに共感してしまう。

 

 それにしても、この『夢の世界を』は、叙述表現がとても綺麗だ。歌っているだけで、歌詞に出てくる「並木のイチョウ」や「小鳥のさえずり」「夕日」、歌詞には描かれていない木漏れ日の穏やかさまで、脳裏に浮かんでしまう。そしてサビの部分で「さあ出かけよう」と呼び掛けられるのである。沖縄在住の私は、残念ながらイチョウ並木を歩いた経験がないのだが、幼い頃にそんなことがあったような錯覚さえ覚えてしまう。

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◎自分らしく

 中学時には知らなかった曲だが、大人になった今の方が、胸に刺さる曲である。

 自分らしく――今の自分の生き方は、まるで正反対ではないか。素の自分のままでは、社会で生きていけないと、強いフリ・賢いフリをして、結果として自分自身が息苦しくなるばかりだった。

 

 もっとも、自分らしさを貫くということは、結構難しい。色々な人との関わりの中で、どうしても妥協したり、本音を押し殺したりしなければならない場面も出てくる。

 しかし……この曲は「自分らしく生きよう」と“キレイごと”を言うばかりでなく、ちゃんと“自分らしく生きることの難しさ”も言っている。それに、多少自分を偽った方が、その場その場ではラクだったりもする。

 

 だが、やはりそれだけではダメなのだ。ここぞという時には、自分の意思を貫き、周囲の人々にそれを伝えなければならない。これができるまでは、この曲の歌詞が言うように「回り道を繰り返」すことになる。……今の私のように(汗)。

 

 このエントリーを書いている今、久しぶりに「自分らしく」を聴いてみた。今年は公私ともに色々あり、今まで頑張ってきたことがすべて否定されたような気持ちにもなった。

 でも、もう一度「自分らしく」「夢を追いかけて」みようと思う。そこに「素晴らしい未来が見える」ことを信じて。

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◎大空賛歌

 私が中学生の頃、1年生の音楽の教科書に載っていた曲だ。テンポのよいメロディと、シンプルだが鮮やかな情景描写の歌詞が、心地よく感じられる一曲である。

 

 この曲の歌詞、一見すると、ただただ青空を描写しているだけのように思える。しかし、誰の頭上にもある青空に、人は様々な思いを見出すものである。

 

 歌詞が一番、二番、三番と進むにつれて、少しずつではあるが描写する内容が変わっていくのも面白い。一番では、蝶や鳥、雲と自然の描写。しかし二番は、「迷いながら明日を目指し進む」と、人の心理を描いている。そして三番は、人の動作を描写し、自分一人だけでなく周囲の人々と「手をつなぎ」「肩を寄せ合い」、共に前へ進んでいこうとする強い意思が表現されている。

 

 まあ、このように深く考えなくとも、何も考えず元気よく歌える曲でもある。広い青空、そこに見出される開放感、未来への希望を感じながら、もう一度歌ってみて欲しい。

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旅立ちの日に

 私と同年代、今の20代後半~30代の人達にとっては、合唱曲と聴いて真っ先に浮かぶのが、この曲ではないだろうか。残念ながら、私の中学校ではこの曲が使われることはなかったのだが、中学卒業後に初めて聴いた時は、思わず鳥肌が立った。

 

 とにかく歌詞も、メロディも、何もかも素晴らしいとしか言いようがない。

 「白い光の中に」という出だしの部分から、もう引き込まれてしまった。そして歌詞を追っていくうち、「君は飛び立つ」というフレーズで、卒業の日の光景を描いているのだと分かるのである。

 

 ご存知の方もいらっしゃるだろうが、この曲は中学校の先生によってつくられた曲である。当時、この学校は非常に荒れており、授業を成立させるのも一苦労だったと聞く。

 それでも心折れることなく、日々生徒達と“格闘”を続け、最後に生徒達へこの曲をプレゼントされた坂本浩美先生、小嶋登校長先生の情熱には、本当に頭が下がる思いである。そのエピソードを知った時、私は改めてこの曲が好きになった。

 

 ただでさえ不況と言われる日本社会。そこへ追い打ちをかけるように襲い掛かってきたコロナ禍。心身ともに傷付き、生きる希望を失っている人も少なくないことだろう。

 そんな今だからこそ、この曲を聴いてみたい。そう……もう一度「勇気」を自分の「翼」にこめて、少しでも明るい未来を見出したいものである。

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