南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

<雑記帳>加害少年は、見方を変えれば”良い社会経験”ができていたかもしれなかったのに…… ~東大・受験会場刺傷事件より~

【目次】

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1.すべては“本人の責任”である

 本当にウンザリする。東京大学にて発生した、二人の受験生と70代の男性が、高校2年生の男子生徒に刺された事件のことだ。死者の出なかったことだけが、不幸中の幸いである(容態が急変したという70代の男性が心配だ)。

 

 何がウンザリするかと言えば、こういう事件が起こる度に「学歴社会が問題だ」「学校教育に原因がある」等と見当はずれのことを言う輩が、必ずいるからである。

 

 違う。全然違う。まあ仮に、勉強のことで悩んでいたのは本当だとしよう。だがそれで無関係の人を傷つけるというのは、さっぱり理解できない。ただの憂さ晴らし、東大受験する実力を持った子達への妬み嫉みの類としか思えない。ハッキリ言うが、この事件はすべて、計画し実行した“本人の責任”である。

 

2.少年の「真の動機」

 ただまあ、今年度は似たような事件が頻発したので、加害者の少年がどのような心理状態にあったかを知っておくのは、後学のために良いかもしれない。

 

 前述の通り、少年は勉強のことで悩んでいたと聞く。報道によると、彼自身も東大進学を希望していたが、成績が伸び悩み、そのことで苦しんでいたそうだ。

 

 だが……私は確信して、言いたい。この少年の真の動機は「成績が伸び悩んでいたこと」などでは、断じてない。成績が伸びないことで、彼自身の“理想の自分でいられないこと”、もしくは周囲から“勉強のできる子と見られていたい”という願望が果たせなくなり、現実を突きつけられるのが怖かった。そしてその結果、自暴自棄になった。……以上が大方の、少年が犯行に至った「真の動機」ではないだろうか。

 

2.”勉強ができること”だけが、アイデンティティになっていたのでは!?

 私は三人もの人間を傷付けたこの少年に、まったく同情はしない。ただ、哀れだなと思う。

 17歳といえば、青春真っ盛りだ。スポーツや趣味に打ち込んだり、恋愛をしたり(そして恋に破れたり)、そういった様々なことを謳歌する時期だ。

 

 そんな時期に、自分のアイデンティティを“勉強”でしか保てなかった。それが加害少年の日常生活ではなかったか。だから彼に「勉強だけがすべてじゃない」と言っても、無意味である。なぜなら彼自身が、“勉強ができることだけがすべて”だという精神状態に、自ら嵌り込んでしまったのだから。周りがいくら賢しらなことを言ってもムダだ。

 

3.見方を変えれば、彼は”良い経験”をしていたのに……

 ひょっとして……これは推測に過ぎないのだが、彼の通う学校の雰囲気自体が、彼には合わなかったのかもしれない。

 実は、私にもそんな経験がある。私も県下ではトップと言われる大学には入学できたものの、その学部・学科は、今で言う“パーティーピーポー”のような学生がたくさんいて、引っ込み思案の私には少々辛かった。

 

 だから彼の気持ちも分かる、と言いたいのではない。もしそうなら、彼は見方を変えるなら、「良い社会勉強ができた」と思うのだ。周りと価値観が合わない。そんな経験は、オトナになってからでも味わう可能性はある。誰だってある。そんな環境に置かれた時、どうすれば良いのか。答えは自分で見つけ出すしかない。

 

 自分の気持ちを分かってくれる同級生のいない日々が、彼には辛かったのかもしれない。そんな時、もし誰かが一言……「君が悪いんじゃない。誰だってそうなる可能性があるよ」と言ってくれていたら。そして少年が、学校や勉強以外の部分で、“自分の良さ”を見出すことができていたら。

 

 そう思うと、残念でならない。東大をねらうほどの頭脳があれば、今の自分の置かれた状況が将来の役に立つかもしれないことを、少し想像すれば理解できたはずなのに。

 本当にもったいない。