南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

<雑記帳>アイメッセージとユーメッセージ

【目次】

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1.中学生の時の出来事

 スポーツ記事や小説なんかを書いているが、実を言うと、私自身は運動がとても苦手だ。まあ今思うと、自分で自分を卑下しすぎていた部分もあったので、せいぜい“中の下”くらいはあったかもしれないが、オトナになった今でも運動への苦手意識は強い。

 

 そんな私が、中学生の頃、意地になって身に付けようとした技がある。マット運動の前方倒立回転跳び、別名ハンドスプリングという技だ。

 

 当時、いくつかのグループに分かれて練習したのだが、私はこのハンドスプリングをやろうとする度、後頭部や尻をしたたかマットに打ち付けた。それでも諦めずに挑戦し続けた私を、いつしか体育教師も目にかけてくれ、よく声を掛けてもらえるようになった。

 

 そんなある日。違うクラスの女子に、次のようなことを言われた。

「○○君、いつもマットがんばってて、エラいよね」

 

 この時、私はどう思ったか――バカにされていると感じた。

 傍から見て、私は結構面倒な人間だと思う。見た目は穏やかそうなのに、実はプライドが高くて短気。しかも怒りをその場では抑えようとする理性だけはあるものだから、かえって引きずってしまう。要するに、根に持つタイプ。自分でもうんざりすることが、よくある。

 

 ただ……この「バカにされた」と感じたことは、後になって良い勉強になったと思った。もし私が同じような言葉を他の人にしたら、私自身も「こいつバカにしやがって」と、恨まれる可能性があるということである。

 

 もしかしたら、その女子生徒はバカにする意図なんか、本当になかったかもしれない。ただ言い方を間違えただけだった可能性もある。

 ただとにかく、当時の私には不愉快だった。申し訳ないが、それは確かだった。

 

2.アイメッセージとユーメッセージ

 あれから十数年後。私はヘルパーの仕事に就き、そこで「アイメッセージユーメッセージ」という研修を受けた。それが、中学生の時の出来事を紐解く大きな鍵となった。

 

 研修では、人に自分の思いを伝える時は「アイメッセージが望ましい」という話があった。そこでハタと思い至った。

――「○○君は、マットをがんばっててエラいね」

 これは“ユーメッセージ”だったのである。この言い方がなぜマズイかというと、その裏で何を考えているのか、相手に伝わらないからだ。内心では、これぐらいの技もできなくてみっともないと思っていたかもしれないし、本当は見ていて痛々しいからやめろと言いたかったのかもしれない。いや、本当に諦めなかった私を応援していてくれたのかもしれない。

 いずれにしろ、伝わる言い方ではなかった。

 

 では、何と言えば私はちがう捉え方をしたのか。これをアイメッセージに変えれば良いのである。例えば、次のような言い方がある。

「○○君がマットがんばってるの見て、わたしもがんばらなきゃって思ったよ」

「○○君、マットがんばってるの分かるけど、ケガしないか(私は)心配になるから、気をつけてね」

(まあ、そこまで女子に気を使ってもらえる存在じゃないと言われれば、それまでだが)

 

3.相手によって使い分ける

 ここから先は余談になるが――もちろん“アイメッセージ”が、すべての人に通じるわけでもないし、“ユーメッセージ”をまったく使ってはいけないということではない。

 

 ヘルパーをしていた時、私は“褒められ慣れている子”には「アイメッセージ」、“褒められ慣れていない子”には「ユーメッセージ」というふうに、使い分けていた。

 といっても、そんなに難しい話じゃない(笑)。

 

 例えば、子供が教室の隅まで丁寧に掃き掃除をしてくれた時。

 

 褒められ慣れている子には、「ありがとう、うれしいよ」「そこまで気付く子がいるなんて、びっくりした」等と言っていた。

 一方、褒められ慣れていない子には「やるじゃん!」「君、すごいね」等である。

 

 特に褒められ慣れていない子を褒めた時、ニヤッとした顔を見るのが、私は好きだった。あれを見ると、子供は可愛いなと思う(そうじゃない時の方が圧倒的に多かったりするが)。

 

 アイメッセージとユーメッセージ。人をどう褒めれば良いか分からない方は、是非使い分けてみて欲しい。