昨日の昼、ついに辞職願を郵送(そうするように指示があったので)により、提出してきた。その後、狂ったように小説を二作執筆したが、これから寝ようとする今、言いようのない寂寥感に襲われている。
何の仕事かを言えるのは、おそらく五年後くらいになるだろうか。
この仕事に就きかけて、20代後半から30代前半の約10年間を費やしてきた。当初は職場の上司に小馬鹿にされたり、パワハラまがいのことをされたりもした。当然、その原因が自分自身の未熟さであることも少なくなかった。
36歳になり、正式にその仕事に就くための試験に合格した。だがその時期に一度体を壊したため、採用は保留となった。翌年、自分を認めてもらうために、必死で仕事に打ち込んだ。朝8時前に出勤し、帰りが夜10時を過ぎることも珍しくなかった(自慢をしたいのではありません。もっと過酷な仕事に就いている人も多いのは承知しています)。
そして今年。正式採用となり、研修と実践を行う一年となるはずだったが……五月末に突然、職場で言葉が出なくなった。おかしいと思っているうちに、体が動かなくなり、心療内科を受診すると、メンタル疾患に掛かっていると言われた。どうにか仕事を続けようとしたが、メンタルを病んでいる状態では、やはりムリだった。
結局……その仕事を一旦、辞めることになった。
何というあっけなさだろう。約十年間、自分の労力の大半を注ぎ込んできた目標が、一瞬にしてパーになったわけた。
不思議と、人を恨む気にはなれない。昔、別の職場で人間関係に苦しんだことはあったが、それとこれとは別だ……その時からの「心の疲れ」が、蓄積していたのかもしれないが。
再就職支援センターに、先月より通うことになるはずだったが、再び体調を崩したため、それもお預けとなった。今、自分の心身のあまりの脆さに啞然としている。
こんなに自分は脆かったのか。あるいは……ここまで壊れるまで、心身を酷使していることに気付かなかったのか、と。
その仕事に就きたかった。しかし、結局のところ……向かなかったのだと思う。向かない仕事をできるように、必死になった十年間。手に入ったのは、ボロボロの体と、つまらないプライド、極度に低い自己肯定感だけだった。
小説『山月記』なら、この辺りで私は“虎”になっていただろう。だが、そこまでいくほどには、まだ狂っていないらしい。
しかし、再就職が問題になるだろう。私の年齢で、しかもメンタルを病んでいる人間を雇ってくれる職場など、あるのだろうか。
とにかく……親しくしていた、誰かとしゃべりたい。ただ、会いたくはない。今このボロボロの体を見せたくはない。まったく、ここでもつまらないプライドだ。
ここで、自分の心境を俳句に託してみた。
◎とりあえず記名退職の日は冬
◎百キロの吾の四肢枇杷の花毟る
それにしても、趣味として俳句と小説をやっていて良かった。いや……良かったというおは大げさだが、少しはマシだ。生きる目的が、完全には消えないのだから。