令和4年春季九州大会の組み合わせが決まった。
我らが沖縄県代表の沖縄水産は、今年の選抜大会に出場し、準優勝した近江と延長戦にもつれ込む激闘を演じた長崎日大との対戦である。
正直、厳しい組み合わせである。ただそれは、戦前にある程度予測できたこと。沖水らしい強打を発揮し、相手のペースを狂わせることができれば、十分勝機は出てくる。
さて沖水に限らず、甲子園をねらえる県内の強豪校に望みたいことが、一つある。それは「思うようにいかない状況でどうプレーするか」ということを身につけることである。これは、投打両面において言える。
例えば、思うように打てない時。あくまで選手の個人技に賭け、一打で流れを引き寄せるというのも一つの手ではある。ただそれだけだと、相手投手の力量がこちらの打線を上回っていた場合、最後まで挽回できないことになる。
であれば、序盤は「見る」ことに徹し、なるべく球数を放らせて情報を集める。それからチームとして狙い球を絞り、目が慣れてきた終盤に狙い打ちする。
あるいは打つというより、ファールで粘って球数を投げさせ、相手投手の心身の疲労を誘う。そうして球のキレがなくなってきた頃、一気に襲い掛かるというわけだ。
例えば、相手打線の力量がこちらの投手陣を上回っている時。完全に抑えるのは難しいだろうから、せめて「気持ちよくスイングさせない」ための工夫をする。
具体的には、投球の間合いを意図的に長くしたり短くしたりする。あるいは、球数が増えたり死球の可能性が高くなったりしても、徹底して際どいコースを突いていく(それができるだけのスタミナやコントロールを練習で身につける)。
相手に気持ちよくスイングさせさえしなければ、何点か取られるのは仕方ないにしても、大量失点は防ぐことができる。
こうした戦術を、チームとして徹底できるようにしておく。そうすれば、多少力量の上回るチームが相手でも、十分勝機を見出せるはずだ。
より端的に言えば、今の沖縄勢には“泥臭く戦う”ことが求められていると思う。
是非は別として、沖縄県内の逸材が県外へ進学する流れは、当分変わりそうにない。したがって、沖縄の代表校が「個人能力で上回る相手」と戦うことになる確率の方が、ずっと高い。
もちろん“高校野球であまり勝ち負けにこだわっても……”という意見も分かる。しかし「勝ちたい」のであれば、自分達が思うようにいかない状況でどう対応していくかということも、身につけて欲しい。