南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

<雑記帳>好きな沖縄ソング5選

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【目次】

<はじめに>

 私は生まれも育ちも沖縄だ。もっとも、その沖縄が大好きか?と問われたら……自信を持って答えられない。大好きだ、沖縄に生まれてよかった――そう自信を持って答えていた時期もあった。しかし大人になると、様々なことが見えてくる。

 

 この地の良さばかりでなく、どうしようもない所も目に付いて、ゲンナリすることも増えてきた。それは都会に住む地方出身者が「故郷(ふるさと)」という言葉を聞いた時、それを百パーセント良いイメージで捉えられないのと、似ているのかもしれない。

 

 さて、もう一つのブログでも行ったが、今回は「印象的な沖縄ソング」を紹介することとしたい。前回は“好きな沖縄ソング”ということだったが、今回は好き嫌いとは別に、強く印象に残っていたり、どこか心に引っかかってしまう曲を取り上げることとする。なお、前回のものと被ってしまう曲もあるので、ご承知いただきたい。

 

1.琉球愛歌(モンゴル800)

 良曲だとは思うのだが、いろいろなことを知った後で聴くと、どうしても複雑な気持ちになってしまう曲。

 

 歌詞では、どの国も“上辺だけの付き合い”をやめ、“武力を使わず、自然を愛する”琉球の心を取り戻そうと訴えるのだが――どうも「純情すぎる」ように感じてしまうのだ。

 

 そもそも武力を使えなかった琉球は、薩摩の侵略を許してしまった。

仮にそれがなかったとしても、当時の帝国主義の世界情勢を思えば、どこかの国に乗っ取られていた可能性が高い(おそらく中国)。結果的にではあるが、薩摩に侵略されて“日本の一部”になれた分、琉球そして沖縄は、まだシアワセだったと思う。

 

 そりゃ武力を使わず、自然を愛し、どこの国とも仲良くなれれば、それに越したことはない。だが現実には、こちらが仲良くしようとしても敵意しか見せない国や、隙あらばこちらの利益を吸い取ってしまおうと考える国もあるのだから、どうしようもない。

 

 まあ別にモンゴル800は、政治的な意図でこの曲を作ったわけではないだろうし、素直に楽しめば良いのだが、私はどうしても心に引っ掛かりを感じてしまう。申し訳ないが。

 

 

2.童神(古謝美佐子

 優しい気持ちになれる曲。子供を大切に育てようとする、沖縄本来の温かさを感じさせる曲。こちらは好きな曲でもある。

 歌手には古謝美佐子氏の名前を書いたが、他にも夏川りみさん、元SPEEDの島袋寛子さん等多くの方がカバーしている。それだけ誰が歌っても、共感できる曲なのだろう。

 

 ヤマトグチ・バージョンとウチナーグチ・バージョンがある。どちらも良いのだが、個人的にはウチナーグチ(沖縄方言)・バージョンが好きだ。こちらの方が、子供を大切に育てたいと願う親心の奥に、子供達を包み込む沖縄の風が吹いてくるような、そんな気がする。

 

3.島人ぬ宝(BEGIN)

 確か、私が高校生の時にリリースされた曲だと思うが、その歌詞に心を刺された。

 

 一昨年、首里城が火事になってしまい、私も大きな喪失感を覚えたが……その首里城へ行ったことは、実は小学生の社会見学か何かで行って時以来、ないのである。普段、そのありがたみを感じてもなかったくせに、なくなってしまってから嘆くというのも、随分と都合のいい話だなと、我ながら反省させられた。

 

 首里城に限らず、私は沖縄のことを何も知らないのではいか。「トゥバラーマ」や「デンサー節」どころではない。この地に暮らしてきた先人達が、何を思い、何に苦しみ、何に喜び、そして何を大切にしてきたのか。それを自分は知らずに育ってきたのだ。そのことに、この『島人ぬ宝』は気付かせてくれた。

そう……自分には今まで気づかなかった、たくさんの“宝”があるということを。

 

 

4.オジー自慢のオリオンビール(BEGIN)

 この曲は、単純に楽しめる曲。島酒、島マース、島ぞうり。そしてビアガーデンでの高校野球応援。沖縄ならではの光景が歌詞に溢れ、思わずニヤッとしてしまう。

 

 残念ながら、私のオジーは私がビールを飲める歳になった時には、二人とも旅立ってしまっていた。それが残念でならない。その代わり、母方の祖父の十三回忌には、オジーの写真を囲み、親戚のオジサン達とまさにオリオンビールを酌み交わしたものだ。

 

 最後の子供はジュースで乾杯というのも、可愛いね(笑)。

 

 

5.ハイサイおじさん喜納昌吉&チャンプルーズ)

 この曲が以前「酒飲みの歌」などと言われ、高校野球の応援にはふさわしくないとのたまったお人がいたらしいが、どうしようもないバカだなと思う。そのため一時期、沖縄県代表の応援に使われなくなったことがあったが、とても寂しかった。

 

 「ハイサイおじさん」ほど、沖縄の応援にふさわしい曲はないのに。この曲をないがしろにしたことが、最近の沖縄高校野球の低迷のきっかけではなかったかと、私は半ば本気で信じている(苦笑)。

 

 この曲は――れっきとした“反戦歌”なのだ。

 

 この曲に出てくるオジサンのモデルは、喜納昌吉が少年時代、隣に住んでいた人らしい(もともとは校長先生にまでなった優秀な人だっという話もある)。戦乱の中で正気を失い、酒に手を出し、アル中になってしまったという。

 

 そう。あのどこかコミカルな歌詞の背景には、沖縄戦の生々しい傷跡があるのだ。しかし、ウチナーンチュはいつまでも悲しみに、打ちひしがれてはいない。悲しくとも前を向き、陽気に笑い、歌う。それがウチナーンチュの強さだと私は思う。だから甲子園の沖縄代表の応援歌として、ピタッとはまったのではないだろうか。

 

 あの興南東海大相模の決勝戦甲子園球場を流れる「ハイサイおじさん」の旋律に、私は鳥肌が立ち、最後には涙がこぼれてしまった。私の心の奥に深く刻まれた、最も印象的な沖縄ソングである。

 

<終わりに>※各曲のYoutubeへのリンク

1.琉球愛花

www.youtube.com

2.童神

www.youtube.com

3.島人ぬ宝

www.youtube.com

4.オジー自慢のオリオンビール

www.youtube.com

5.ハイサイおじさん

www.youtube.com