南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

イガラシくんの野球講座<第9回「イガラシくん、都内のライバル校を斬る!!」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

  • <はじめに>
  • 1.筆頭は、やはり“あの二校”!!
  • 3.どこか物足りない“対抗馬”の二校
  • 4.イガラシくんのライバル校“辛口評”
  • 5.意外なダークホースは!?
  • 6.墨高野球部の目標は、ただ一つ!!
  •  【関連リンク】

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。

 いよいよ夏の甲子園出場を賭けた地方大会が、各地で開幕しますね。今回はそれに関連しての、読者のみなさんからの質問を取り上げることにします。

 

 ペンネーム:itouさんより。「都内の学校で、甲子園で活躍できそうな学校はいくつありますか? その学校と墨谷との力関係はどうでしょうか?」とのことです。

 

 えっとですね……都内の強豪校と、ぼくらとの力関係については、誰かさんが書いてる小説の方を読んでいただくとして(笑)。甲子園で勝てそうかどうかってことだけ、答えさせてもらいますね。

 

 というわけで、今回のテーマは……

イガラシくん、都内のライバル校を斬る!!

 

 

1.筆頭は、やはり“あの二校”!!

 

 甲子園で活躍できるってのは、つまり「全国優勝をねらう力がある」って意味で捉えてよろしいんですかね。

 

 その意味でなら……やっぱり一番手は、あの谷原(やはら)じゃありませんか。

 

 ぼくらも春先に練習試合で戦って、その強さを肌で感じましたけど。あれはもう……ちょっとレベルが違いすぎましたね(汗)。

 

 なにせ、あの谷口さんのタマが、何を投げてもコースを突いても、ことごとく打ち返されてしまうんですから。バットコントロールの技術、パワー。そして状況に応じたケースバッティング。おまけに駿足揃い。ほんと、どれを取っても別格でした。

 

 さらにエース村井。本格派の左腕投手で、威力ある真っすぐ、切れ味鋭いカーブ、シュート。おまけにコントロールも抜群とくりゃ、どんな強豪であっても、そう簡単には打ち崩せないでしょうね。

 

 あれだけの力があるし、すでに春の甲子園での実績もある。もし夏も出てきたら、間違いなく優勝候補の一角として挙げられるはずです。

 

 ただね……その谷原にも、当然弱点はあります。

 

 分かりやすいのは、投手層の薄さです。

 エースの村井と二番手の野田は、ちょっと力の差があり過ぎますよね。今まで、ほとんと大量点で勝ってきてるから、それほど問題になることはなかったんでしょうけど。もし村井に何かあれば……案外脆いのかもしれません。

 

 あと、今の時点では……まだ仮説なんスけど。

 谷原のように強打のチームって、対戦チームのピッチャーは大抵、アウトコース中心の投球になりがちなんです。もちろん谷原は、アウトコース打ちの技術が高いので、それだけじゃ抑えられないんですけど。

 ひょっとして……思いきってインコース、あるいは得意コースに投げこんだりしたら、かえって戸惑うんじゃないかって。

 

 ま、これはやってみなきゃ分かりませんがね。とにかく谷原に勝つためなら、なんだって試す価値はあると思います!

 

 個人的には、ひょっとして谷原以上に優勝に近いんじゃないかって思うのが、あの佐野を擁する東実です。

 

 先輩の加藤さんから聞いた話スけど、東実は佐野を頼みとして、青葉学院出身のメンバーが集結してるんだとか。半田さんや新聞部の人達の情報によれば、佐野とバッテリーを組んだキャッチャー村野、昨年のエースだった倉田は、すでにレギュラー入りしたらしいですよ。

 

 ま……いくら中学で活躍したからって、すぐに高校でも通用するとは限りませんけど。

 

 しかし少なくとも、佐野と倉田。投手陣の実力は、折り紙付きです。連戦になれば、力のある投手を複数抱えるチームの方が、どうしたって有利ですからね。

 

 強いて東実の不安を挙げるとすれば、打線でしょうか。昨秋のブロック予選決勝で、谷口さんにシャットアウトを許しちゃいましたから。

 

 ただあれから、半年以上近く経ってますし。冬場に徹底的に鍛えれば、もともと良い素材が揃ってますし、打力アップを図るのはそう難しくないんじゃありませんか。

 また四月には、有望な一年生も入ってきたでしょうし。もはや秋に戦った時とは、まったくべつのチームだと思った方が良いと思いますよ。

 

 

3.どこか物足りない“対抗馬”の二校

 

 今言った二校が本命だとして。対抗馬は……まず挙げなきゃいけないのは、川北ですかね。

 川北も東実や谷原と並ぶ、都内の甲子園常連校ですしね。毎年、力のある投手を揃えてくるし、控え投手も充実してるって話を聞きます。

 

 ただ川北も、見かけほど打線が強くなさそうなんスよ(※:この野球講座は、夏の大会の開幕前に収録しております)。おととし谷口さん達と戦った時も、谷口さんがリリーフ登板して、倉橋さんのリードで苦手コースを徹底して突いたら、パタッと打てなくなったそうじゃありませんか。

 

 甲子園で勝ちたいのなら、苦手コースに投げ込まれても打ち返すぐらいの力量が必要スよ。その点、川北はまだ物足りないスね。

 

 それと例年であれば、昨年うちと戦った専修館も、候補に入ってこなきゃいけないはずなんスけど。どうもエース百瀬を始め、昨年までの主力がごっそり抜けてから、ピリッとしませんよね。秋の大会でも谷原に完敗して、シード漏れしてますし。

 ま……いくら名門でも、毎年強いとは限りませんから。今年は新入部員次第ってトコでしょうかね。

 

 

4.イガラシくんのライバル校“辛口評”

 

 あといくつかの有力校についても聞きましたし、自分でも調べてみましたけど。しょーじき……そこまで脅威になるかと言われると、ちと微妙スね。

 

 たとえば大島工。打力があるって評判スけど、過去の戦績を見たら、そのわりに点が取れてないですよね。昨年うちに零封されてもいますし。谷口さんに聞いたら、途中でカッカして、振り回し始めたんだとか。あーいう、すぐ感情的になるチームは、ダメですね。

 

 強いて言えば、エースがシュートを得意としてるそうなんで、それを打ち崩せるかどうかですけど。シュート打ちの練習なら、いくらでもできますし、さほど問題にはならないんじゃありませんか。

 

 あと聖稜。大島工と同じく、強力打線って評判なんスけど。

 実際偵察へ行ってみたら……相手が格下ってのもあったんでしょうけど、コース構わず強引に振り回すバッターばかりで。

 あれじゃ少し良いピッチャーに当たれば、パタッと打てなくなるでしょうよ。昨年うちと戦った時だって、谷口さんがリリーフ登板してから、ほぼ完ぺきに封じられたそうじゃありませんか。

 

 言っちゃ悪いスけど、この二校に関しては、ハッキリ言って“見掛け倒し”なので。今度うちと当たったら、力でねじ伏せるくらいじゃないと、谷原や東実と当たるところまで辿り着けないスよ。

 

 

5.意外なダークホースは!?

 

 あと、個人的に……ひょっとしてダークホースになりそうだなって思うトコが、いくつかあるんスけど。

 

 一つは、昨年うちが完敗した、明善です。あれだけ大差が付いたのは、もちろん激闘に次ぐ激闘で、ナイン達にかなり疲労がたまっていたからというのはあります。

 ただそれを差し引いても、明善ってイヤなチームだなと思いました。

 

 何がイヤかって…強豪校なのに、じっくり相手を研究してくるんですよ。オマケに大差が付いても、最後まで油断する様子は見られなかったそうですし。

 

 昨年度のうちは、まだまだ戦力的に充分整ってなかったんですけど、それを半田さんを中心に、対戦相手のことを研究することで、その差を補ってたんスよね。

 

 ところが、同じことを相手にやられちゃ、うちのアドバンテージが消えちゃいますよね。もっとも……昨年は専修館を研究するのに手一杯で、明善のことを調べる余裕もなかったそうですが。

 

 さらに攻撃パターンも豊富で、小ワザに機動力も使ってくる。また得点圏打率も高い。勝負所での集中力がある証です。そして守備も硬い。

 

 その明善が、なかなか甲子園に出られない理由は、ただ一つ投手力です。そこまで悪いわけじゃないんスけど、谷原の村井や東実の佐野のように、飛び抜けたピッチャーがいないんで。最後は投打の戦いで力負けしてしまうんスよ。

 逆に言えば……もし一人でも、村井や佐野クラスの投手が加われば、明善はますます恐ろしい存在になると思いますよ。

 

 それと、今すぐ脅威になりそうってわけじゃないスけど……城東が少し気になってます。

 長らく“野球の城東”って言われてたのに、二年前に谷口さんが入部したばかりの墨谷に大敗してから、ピリッとしませんよね。聞けば昨年にも練習試合で対戦して、そん時は一イニングもたなかったとか。

 

 

 でもね……元々力のあるチームが、こういう悔しさを味わった後って、大化けする可能性があるんスよ。ぼくらが墨二中時代、一度敗れた青葉を再試合で下したようにね。

 

 そうそう。今城東にいる松下さんは、まさにぼくらがどうやって青葉を倒したか、身をもって体験してるじゃありませんか。先輩だからってワケじゃありませんけど、あの人の“最後の意地”にも期待したいですね。

 

 それと聞いた話じゃ、ぼくらと同年代の有望選手が、何人か城東にも進学したらしいですし。今年はノーシードですけど、大会が始まってみれば、案外面白い存在になるかもしれませんよ。

 

 

6.墨高野球部の目標は、ただ一つ!!

 

 ぼくの話は、こんなトコですが。え……肝心の墨谷のことが聞けてない? あのー、大会前にそういう具体的な話、あまり細かくしたくないんスけど(※この講座は、夏の大会開幕前に収録しています)。

 

 じゃあ……ほんの少しだけですよ。当然、言えない話もあるんで、そこはカンベンしてくださいね!

 

 ええとですね。しょーじき、うちの都内での立ち位置は、よく分からないんですよ。

 

 事実でいえば、昨夏そして昨秋と続けて8強入りしてる。強いほどではないが、力を抜いて勝てるほどの弱小でもないってトコでしょうかね。

 

 ただ……秋の大会から半年以上も過ぎてますし、うちも含めて、各校とも新入部員が数多く入ってきてるのでね。それでなくても、ひと冬越して、まるでべつのチームのようにパワーアップしてるなんてケースは、よくある話ですからね。

 

 ただ、これだけはハッキリ言わせてもらいます。

 

 ぼくら墨高野球部の目標は――この都大会を優勝して、甲子園に出場することです。ぼく個人としては「甲子園優勝」と言ってもいいと思ってますがね(笑)。

 

 さて……今ぼくの言ったことが、ただのホラ吹きになるのか。それとも有言実行になるのか。みなさんもぜひ、楽しみにしてくださいね!! それでは~。

 

 

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イガラシくんの野球講座<第8回「イガラシくんは、いじめ問題をどう考える!?」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

  • <はじめに>
  • 1.第三者の力を借りよ!
  • 2.学校を責められない理由
  • 3.無理してクラスメイトと仲良くする必要はない!!
  • 4.同じ志(こころざし)の仲間を作れ!!
  •  【関連リンク】

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは。墨高野球部のイガラシです。ええと……もうオープニングでしゃべることもなくなってきたので、さっそく今日のテーマにいきますね(笑)。

 

 今日のテーマは、野球とあまり関係ないんスけど……これはずっと話したかった内容なので、いい機会だから取り上げようと思います。

 まずは、ぼくのもとに届いたお便りを紹介することにします。ペンネーム:N美さんより。

 

―― イガラシさん、はじめまして。私は中学2年生の女子です。

 

 実は2年生になって、同じクラスの女子3~4名からいじめを受けています。朝、学校に来ると、机の上に「バカ」「死ね」とか落書きされていたり、体操服を隠されたりします。

 

 担任の先生に相談したいのですが、実は私をいじめている子達というのは、クラスのリーダー的な存在の子で、先生もその子達を頼りにしている様子です。

 私の方は、逆に要領が悪くて、提出物が遅れたり忘れ物をしたりして、よく先生に叱られるので、私の話を聞いてもらえるか心配です。

 

 四月からずっとガマンしてきたのですが、もう限界です。私はこれから、どうしたらいいのでしょうか。アドバイスよろしくお願いします。

 

 

 以上が、お便りの内容です。ということで、今日のテーマは……

イガラシくんは、いじめ問題をどう考える!?

 

 

1.第三者の力を借りよ!

 

 まずね、N美さん。きっとムリして、学校に通ってたんだろうけど、もうガマンするこたあねえよ。この様子じゃ、両親にも言えてないんだろう。たしかに親や先生に言ったら、余計に話がややこしくなったりもあるからな。

 

 そうだな……明日の朝、学校へ行くフリして、役所か図書館か、アンタが歩いて行ける所へ行くんだ。あ、公園はダメだぞ。女学生が一人でいると見るや、不埒なことを考える輩もいるからな。

 

 要するに学校以外の、マトモな大人がいる場所へ行け。そこで、おれに当てた手紙の内容を、そこにいる大人に伝えるんだ。

 

 もし話しづらいなら、そこでウロウロしとくだけでいい。平日の日中に、女学生が一人で所在なげにしてたら、分別のある大人なら、何かあったんだと気付くはずだ。

 

 ちと話は逸れるけどよ。おれはかつて、選抜大会前の練習のことが新聞で取り上げられて、それがもとで「練習が過激すぎる」と父兄の間で騒ぎになっちまって、苦い思いをしたんだ。

 

 あん時に分かったんだけどよ。学校てのは、騒ぎが大きくなるのを嫌うんだ。外部の機関から、いじめの問題を指摘されたとなりゃ、きちんと対応せざるを得ない。

 

 それと、こう言っちゃ悪いが、アンタの言うとおり、アンタの担任は役に立ちそうにねえな。アンタをいじめてる連中に、おそらく丸め込まれちまってる。

 アンタがいじめを訴えたところで、「あまり気にしない方がいい」とか「君にも悪いところがある」とか、テキトーなことを言ってお茶を濁すしかできねえだろうよ。

 

 あ、そうそう。アンタ自分で要領が悪いなんて言ってるが……この手紙の文面からして、アンタはもっとしっかりした性格のはずだ。今、いろいろと上手くいかないのは、しかたねーよ。だって、毎日こんな辛い目にあってるんだからな。

 

 それに要領が悪いってだけで、人をいじめていいっつーんなら、おれの後輩の近藤なんて、毎日いじめられなきゃおかしいだろ。しかもあのヤロウ、自分は天才で、アンタみたいに要領が悪いなんて自覚すらしてないんだから、ほんと始末が悪いぜ(笑)。あ、わりい。つい話が逸れちまった。 

 

 とにかく……学校関係以外の、第三者の力を借りるんだ。

 

 特に役所には、悩みを抱えた青少年を対応する専門の部署がある。そこに話を通してもらえ。何なら、しばらくそこへ通うといい。そうしている間に、専門の職員が、学校に働きかけて、問題を解決するように働きかけてくれるはずさ。

 

 

2.学校を責められない理由

 

 ただね……あまり学校のことを、責められないってのもあるんスよ。

 

 当たり前スけど、学校は警察じゃない。いじめた子も、いじめられた子も、双方とも学校にとっちゃ“大事な生徒”なんスよ。だから両方に話を聞いて、今後こういうことが起こらないように“指導”して、一応の解決にするのが精一杯でしょうよ。

 

 もっと厄介なのは……そもそもイジメって、先生や親に隠れてやるものじゃないスか。だから発見自体が、ものすごく難しい。

 

 オマケに最近じゃ、ちょっと先生が手を出したくらいで、父兄もマスコミも体罰だなんだって騒ぐじゃありませんか。これじゃ先生たち、ますます指導がやりにくいでしょうね。

  

3.無理してクラスメイトと仲良くする必要はない!!

 

 でね。こっからは、ぼくの持論ス。

 

 小学校の低学年くらいだと、単に力の弱いヤツ、嫌なことを言われても言い返せないおとなしいヤツが、いじめられやすい。けど……それが高学年になると、クラスにうまく馴染めないヤツ。つまり友達を作るのが苦手なヤツが、いじめのターゲットになりますよね。

 

 女子の場合は、それがより顕著じゃないスか。

 あいつらグループを作って、こっちから見りゃ気色悪いくらい、トイレに行くにしても何をするにしても一緒に行動しますよね。

 

 ま……それで仲良くしてるうちは、いいんでしょうけど。グループ内の雰囲気を乱したり、ちょっとでも意に沿わないようなことをすれば、排除の対象になる。

 

 だからグループを作るなって言いたいんじゃありませんよ。男のぼくにはよく分からないスけど、女子には女子の事情というか、ルールがあるんでしょうからね。

 

 ただね。親も先生たちも、それから生徒自身も……なんとなく「友だちがいないのは良くないこと」って思ってますよね。先生たちも「仲のいいクラスを作りましょう」なんて、学級目標を掲げたりする。

 

 ぼく……思うんスよ。クラスメイトと仲良くすることって、そんなに大事スか!?

 

 いや、自然に仲良くなりゃ、それに越したことはないと思いますよ。けど……そもそも学校って、好き同士集まったわけでもないメンバーで、勝手に三十数名ずつ区切られてクラスを作ってるワケでしょう。

 

 これは極端な話スけど。ぼくは野球をやってますが、ぼく以外のヤツが全員野球が嫌いなら、ぼくだって簡単に仲間外れになっちゃいますよ。

 

 今のは極論に思えるかもしれないスけど。確率で言えば、クラスの中に自分と気の合うヤツが一人もいないことだって、十分あり得るでしょう。なのに、みんな何となく「クラスメイトと仲良くしなきゃいけない」と思ってる。

 これじゃあ誰だってストレスが溜まるし、いじめだって起きますよ。

 

 好きで集まったわけでもない、必ずしも気が合うわけじゃないクラスメイトと、無理して仲良くする必要はないんじゃありませんか!? 仲良くしなきゃいけないって思い込みを捨てりゃ、みんなもっとラクに学校生活を過ごせると思いますがね。

 

 

4.同じ志(こころざし)の仲間を作れ!!

 

 さて、N美さん。最後にちと厳しいコト言わせてもらうけど、勘弁してくれな。今は辛いだろうから、問題がある程度解決した時にでも、じっくり考えてみて欲しい。

 

 アンタ……なにか、目標はあるかい? 勉強でも部活でも趣味でも、何でも。

 

 ただ「楽しく学校生活を送りたい」じゃ、ダメだ。それは自分の日々の生活を、他人に委ねちまってる。それじゃ、これからも今と同じことの繰り返しになりかねないぜ。

 

 しょーじき、おれは友達なんて作りたいと思ったことはない。

 けど、おれは一人じゃない。それはおれに「甲子園に出る」という目標があって、同じ目標を共有する仲間が、自然に集まってくるからだ。

 

 男のおれの話じゃ参考にならないってんなら、アンタと同じ女生徒の話をしようか。

 

 前にも話したが、おれが墨二中の一年生の時、同じクラスに浅井遥菜(あさいはるな)って吹奏楽部のヤツがいた。女子にしては珍しく、ほとんど一人で過ごしてたな。

 

 けどそいつ、自分がクラスでひとりぼっちなのを、ちっとも卑下した様子じゃなかったのよ。むしろいつも堂々として、なんつうか気高い雰囲気だったな。

 

 で……そいつには、目標があったんだ。誰にも負けないフルート奏者になるってよ。だから文化祭なんかで演奏会があると、みょうにあいつの姿が目に留まったのよ。ひときわ美しく背筋が伸びて、心底フルートが好きだってな。

 

 ただ……ちょっと変なヤツでよ。三年生の時、おれに演奏会のチケットをくれたくせに、終わった後で声をかけようとしたら、なぜかこそこそと隠れやがるんだ。まったく、なに考えてんだか。

 

 えっ、それはイガラシくんがにぶい? みなさん、なにがおっしゃりたいんです? さっぱり分からないんスけど(汗)。

 

 ま……いいや。で、その浅井ってヤツ。ずっとひとりぼっちだったかというと、そうじゃなかったんだ。

 

 三年生になって、あいつとまた同じクラスになったんだけどよ。同じように音楽が好きな同級生、そして後輩に、いつも囲まれてた。あいつも好きな音楽の話をして、楽しそうだったぜ。

 

 N美さん、おれの言いたいこと分かるかい?

 

 アンタも、なんとなく一緒にいる連れじゃなく……同じ目標、同じ志(こころざし)を持った仲間を見つけるんだ。その方が有意義だし、今よりずっと楽しい学校生活を送れるはずだぜ。

 

 つうことで……今回の話は、以上ス。次はまた、本題の野球の話に戻りますから。

 

 とにかくN美さん。何でもいいから、まず元気を出せよ。

 はっきり断っておくが……今回のことは、アンタが悪いんじゃない。ただ、ちっと運が悪かっただけだ。まちがっても、これで自信をなくして、後ろ向きな気持ちで日々を過ごすことがないようにしてくれよな!

 

 元気になったら、あの浅井を紹介してやる。アイツ、おれからこそこそ隠れやがったくせに、なぜか「イガラシくんの頼みなら聞いてあげる」だとよ。

 

 え、やっぱりにぶすぎる? なんのことだか。ま……いいや。それじゃあな!!

 

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イガラシくんの野球講座<第7回「どうして格下の相手に、いつも容赦なかったのか!?」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

  • <はじめに>
  • 1.手抜きを覚えると、後の試合に響く!
  • 2.野球は下駄を履くまで分からない!!
  •  【関連リンク】

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。

 この野球講座も、七回目を迎えました。好評(?)につき、今回も「キャプテン」「プレイボール」ファンの方からの疑問や質問に答えていこうと思います。

 

 では、さっそく。今回のテーマは……

どうして格下の相手に、いつも容赦なかったのか!?

 

 言われてみりゃ、そうでしたね。明らかに力が落ちる相手でも、ぼくらは一切手を抜くことなく、ほとんど大量点・無失点のコールドで勝っていたはずです。

 

 で……それが何か? まさか少しは手を抜けって言いませんよね。そんなことしたら、相手チームに対して失礼じゃありませんか。

 

 どんな力量の相手にも、全力で戦う。それが勝負に臨むうえで最低限の礼儀だと、ぼくは信じています。

 

 

1.手抜きを覚えると、後の試合に響く!

 

 ま、礼儀云々は別にしても、手抜きを覚えるとロクなことにならないんスよ。

 

 たとえば、二回までに10点リードしたとします。もう勝ちは見えてますよね。

 こんな時バッターが何を考えるかというと、大きいのを一発ねらいたくなるんスよ。で、コースや球種かまわず、大振りになる。

 

 こうなると、雑なバッティングが身についちまうんスよ。で……つぎの試合までに修正できなくて、パタッと打てなくなる。それが分かってたので、ぼくはキャプテンをしてた時、大差が付いた後ほどナインのバッティングに目を光らせてましたね。次に影響が出ちゃマズイんで。

 

 ただ……ぼくがイチイチ言わなくても、ナイン達は大差が付いたからといって、雑なバッティングをすることはなかったですね。

 

 え、ぼくが怖いからって? それもあるかもしれませんが(笑)、みんな全国優勝という目標を忘れなかったので、それにふさわしいプレーをしなきゃいけないって心掛けてたんだと思います。

 

 あと……ぼくがキャプテンの頃には、控えメンバーも結構力を付けてきてたので。レギュラーであっても少しヘタなことをすれば、すぐに取って代わられる危機感もあったんじゃないでしょうか。

  

2.野球は下駄を履くまで分からない!!

 

 ただ、もっと基本的なことなんですけど。

 

 やっぱり野球ってのは、下駄を履くまで分からないんですよ。大差が付いてもう勝負アリだと思ったところから、ひっくり返したりひっくり返されたり。どう見ても力が上と思われる相手に、番狂わせを起こしたり。

 

 (現実の)高校野球でも、延長戦で6点取られたチームが、その裏に同じく6点を奪い返したり(昭和36年夏・報徳学園-倉敷工業)、8点ビハインドを九回裏に一気にひっくり返したり(平成26年夏・星稜-小松大谷)、漫画で描いたら「リアリティがない」って言われそうなことが起こったりしてるでしょう。

 

 なにせぼくらが、相手の油断や隙に付け込んで、勝ちをもぎ取ってきたので。自分達が同じ轍(てつ)を踏まないようにしなきゃ、ね。

 

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イガラシくんの野球講座<第6回「イガラシくんは、勝利至上主義じゃないの!?」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

  • <はじめに>
  • 1.“勝利至上主義”の定義とは!?
  • 2.野球はプレーヤーのもの! 勝負はグラウンドでつけるもの!!
  •  【関連リンク】

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。そろそろ全国各地で、夏の甲子園出場を賭けた地方大会が始まりますね。今回は、学生野球で盛んに議論されるテーマであり、ぼく自身も周りからよく言われることについて、話していこうと思います。

 

 今回のテーマは……

イガラシくんは、勝利至上主義じゃないの!?

 

 えーっとですね。この類(たぐい)の質問、よく聞かれるんですけど。ショージキ、質問の意味がよく分からないんですよ(汗)。

 

 いや、勝利至上主義っていう言葉じたいは、だいたい分かりますよ(笑)。でもほら、この言葉って、使う人によって捉え方が微妙にズレてたりするでしょう。だからまず、言葉の定義をハッキリさせなきゃいけないと思いましてね。

 

 

1.“勝利至上主義”の定義とは!?

 

 ぼくは最近まで、勝利至上主義ってのは“勝つために全力を尽くすこと”だと思っていて、「そういう意味ならぼくも勝利至上主義です」と答えてました。ついでに、それのどこが悪いんですか?って。

 

 けど……この言葉が、あまりにも良くないことみたいに言われるので、どうしてなのか、自分なりに考えてみたんスよ。で、思ったのが……けっきょく「その勝利を心から喜べるかどうか」じゃないかなと。

 

 分かりやすいのが、あの青葉ですよ。ぼくらと初めて戦った時、ヤツらは規定を破って十四人以上の選手を使ってきましたよね。それでゴリ押しに勝った。

 

 ぼくがもし、青葉の部長の立場なら……絶対にやらないですよ。

 

 だって、もともと格下だと思ってた相手に、あんなやり方で勝ってもうれしくないじゃありませんか。

 

 おまけに、ヤツらは全国大会を控えてたんです。あんなやり方でしか勝てなかったと、自信をなくして、全国大会でほんらいの力を出せなくなるかもしれないでしょう。結果として優勝できたから、いいようなものを。

 

 そういや、これは噂なんスけど……中には大会で目障りになりそうなチームと、大会前に練習試合を組んで、そのチームの主力をケガさせるなんて話も聞いたことがあります。あと他の種目じゃ、国際大会なんかで審判に賄賂を渡して、自国のチームが有利になるように姑息な働きかけをするトコもあるんだとか。

 

 もはやそんなヤツらは、スポーツをやる資格ないスよね。

 ただまあ……何が何でも勝てばいいって考えに凝り固まっちまえば、そういうコトも起こり得るのかな。

 

 つうことで。ぼくの“勝利至上主義”の定義は、「手段を選ばず、何が何でも勝てばいい」ってことになりますかね。この定義だと……さすがに違うよなあって思いますけど。

 

 

2.野球はプレーヤーのもの! 勝負はグラウンドでつけるもの!!

 

 ま、要するに、なにごとも「やりすぎは良くない」って話でしょうか。

 

 ただねえ……このやりすぎかどうかってのも、人によってちがうんで。

 ぼくが墨二中のキャプテンだった時、ぼくとしては選抜大会で優勝させるために、必要だと思って組んだあの特訓メニューも、松尾の母ちゃんや父兄に言わせれば「学業を犠牲にする」「練習が過激すぎる」なんて言われちゃいましたからね。

 

 え? 自分でも「やりすぎだと思ってる」って口にしてたろうって? 忘れちゃいましたよ、そんな昔の話(すっとぼけ)

 

 で、なんの話でしたっけ。あ……そうそう、どこまでがオーケーでどこからが行きすぎかなんて、その線引きはなかなか難しいって話スよ。

 

 それともう一つ考えなきゃいけないのが、目標が大きくなればなるほど、良くも悪くも周囲の人間を巻き込むことになるってことです。

 

 読者のみなさんも、青葉の野球部の施設を見たでしょう? 寮に加えて照明付きの専用グラウンド、バス、豊富な練習用具。おまけにぼくらとの再試合に向けて、プロや大学に進んだOB連を呼べるネットワーク力。

 

 ちと下世話な話スけど。いったい、いくらのカネが動いてるんでしょうね。

 

 うらやましいかって? そうですね……支援してもらえるだけで、何の見返りも求められていないとすれば、ね。

 

 でも、そんなワケにはいかないでしょう。あれだけ手厚い支援をしてもらってるのに、それで勝てなきゃ、なにを言われるか分かったもんじゃありません。勝たなきゃいけないというプレッシャーは、ぼくらのようなフツーの野球部とは比べものにならないはずです。

 

 そう考えりゃ、青葉の部長がなりふり構わなかったのも、ちと分かる気がします。強いチームには、強いチームなりの苦労があるんスよね。

 

 ああ……これは別の学校の話ですけど。私立校の野球部なんかだと、父兄が指導者に向かって「私達のカネで食わせてもらってるんだから、こっちの要望を聞け」なんて言ってくる場合もあるらしいス。

 

 そこまで露骨じゃなくても、「なんでウチの子を試合に使わないんですか?」って、平気で聞いてくる親も多いんだとか。ハハ……松尾の母ちゃんなんて、まだ可愛いもんスね。

 

 要するに――どこまでいっても、野球はプレーヤーのもの。そして勝負は、グラウンドでつけるもの。その根本を忘れちゃダメってことなんじゃないでしょうか。

 

  まあぼくとしては、けっきょく「自分達にできることをすべてやり切ることで、勝利を手にする」――これこそが、野球に限らずスポーツの醍醐味だと思いますよ。それが分からない人に、外野からゴチャゴチャ言って欲しくないスね。

 

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イガラシくんの野球講座<第5回「イガラシくんから見て、キャプテン谷口さんってどこがすごいの!?」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

  • <はじめに>
  • 1.キャプテン・谷口タカオのすごさ
  • 2.イガラシのレギュラー抜てきが、墨二中野球部の歴史を変えた!
  •  【関連リンク】

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。

 この野球講座も、五回目を迎えました。今回も前回に続き、「キャプテン」「プレイボール」ファンの方からの疑問や質問に答えて……って、大丈夫なんでしょうね。前回みたいに、野球と関係のない話は、ちとカンベンして欲しいんスけど。

 

 うーむ、しょうがないですね(汗)。ではさっそく、今回のテーマを……

イガラシくんから見て、キャプテン谷口さんってどこがすごいの!?

 

 なるほど。前回よりは、だいぶマシですね(安堵のため息)。

 

 でも谷口さんのことなら、ぼくより丸井さんの方がいいんじゃありませんか。あの人は、誰よりも谷口さんを崇拝してますし。谷口さんのことを聞かれちゃ、喜んでしゃべってくれるでしょうよ。

 

 えっ、丸井さんだと時間がかかりすぎて、収拾がつかなくなる? ま、たしかにそれは言えてますね(笑)。といっても、ぼくだって上手く話せるか自信はないスけど。それで良ければ……

 

 

1.キャプテン・谷口タカオのすごさ

 

 谷口さんのすごさを、一言でいうとすれば……周りをその気にさせる力だと、ぼくは思うんスよ。

 

 「キャプテン」「プレイボール」読者のみなさんも、谷口さんと言えば“がんばる・がんばる”“努力の人”ってイメージですよね。

 もちろんそれも、あの人の優れた点なんスけど。ぼくが、ほんとうにすごいなって思うのは……周りの人間を「(谷口さんの)がんばりに応えなきゃ」って気持ちにさせることじゃないかって。

 

 よく言われる「背中で語る」とか、「率先垂範」ってことなんでしょうけど。そんな言葉が陳腐に感じられてしまうくらい、あの人の努力というのは……いやもう、修行・鍛錬って言い換えてもいいくらい、凄まじいものがありましたからね。

 

 ま……練習量に関して言えば、ぼくも谷口さんに負けないつもりスけど(笑)。でも、あれだけ周りの人間の心を動かすってのは、ぼくにはマネできませんね。ええ、そこはもう素直に認めますよ。

 

 読者の方なら、ぼくが墨二中の一年生の時の、神社でのエピソードを覚えているでしょう。練習が厳しすぎると、抗議に行ったナイン達が、谷口さんとお父さんのあの特訓を見て、すっかり改心させられてしまったんですから。

 

 かくいうぼくも、青葉との再戦前に、あの人がピッチャーを始めるなんて言った時は、さすがに呆れましたよ。ピッチャーなんて、ほんの一月ばかり練習したところで、できるようになるものじゃないですし。まして、相手はあの青葉ですよ。

 

 ところが……しばらくぶりに、あの人のピッチングを見たら。スピードといい球のキレといい、もう十分青葉を抑えられるレベルに達してたんスよ。ま……残念ながら、試合中のケガがもとで、ピッチングを披露することは叶いませんでしたがね。

 

 しかしほんと、あれにはぼくもたまげましたよ。

 まず試合まで一ヶ月を切った段階で、ピッチャーに挑戦しようなんて発想が、フツウできないですし。もしできたとしても、それを実戦で投げられるレベルまで持っていけるなんて、並の人間には不可能ですよね。

 

 キャプテンのあんな姿を見て、心を動かされない人間はいませんよ。やっぱり、すごいリーダーだなあって、改めて思いますね。

 

 

2.イガラシのレギュラー抜てきが、墨二中野球部の歴史を変えた!

 

 それから、ついでに話しておきたいことがあるんスけど。

  谷口さんがキャプテンになって、墨二中野球部はそれまでの“フツーの部活”から、“勝つことを第一目標に掲げるチーム”へと変貌を遂げたことは、みなさんもよく知ってると思います。

 

 ただ、もっと具体的に、そうなったのが、いつ、どの瞬間だったか、みなさんはお分かりですか? 某テレビ番組風に言うと、「その時(墨二中野球部の)歴史が動いた!」ってやつです(笑)。

 

 実はそれ――谷口さんが、ぼくをレギュラーとして抜てきした瞬間なんです。

 

 あ、カン違いしないで下さいね。ぼくがレギュラーになったおかげで強くなれたって、言いたいわけじゃないですよ(笑)。

 

 谷口さんが入部する前……いや、谷口さんがキャプテンになってからも、しばらく墨二野球部は“フツーの部活”だったわけですよ。先輩後輩の上下関係がしっかりあって、練習もそこそこ頑張って、っていう。

 

 その象徴が、あの「一年生はどんなに上手くても試合に出さない」というルールです。

 

 先輩が言ってましたけど、当時の墨二中野球部は“チームワークが第一優先”だったわけですよ……その是非は別にして、ね。

 で、たしかにチームワークを最優先にするなら、野球部のルール・文化を知らない一年生を試合に出さないというのは、確かに筋は通っています。

 

 ところが谷口さんは、当時一年生だったぼく……まして先輩にもずけずけとモノを言う、チームワークを乱しかねない存在だったぼくをレギュラーに抜てきすることで、“チームワークが第一優先”だった墨二中野球部のルール・文化を、根底からひっくり返したわけですよ。

 

 あの瞬間、墨二中野球部は、試合に勝つことを第一の目的とする集団に生まれ変わったというわけです。もっともそのことに気付いたのは、当時のぼくも含めて、ほとんどいなかったと思いますけどね。

 

 自分で言うのもなんですが(汗)、当時の先輩達の言う“チームワークを第一優先”にするのなら、ぼくみたいな人間は一番ジャマです。チームの雰囲気を悪くする、トラブルメーカーでしたから(笑)。

 

 でも……勝つためには、チームが強くなるためには、軋轢(あつれき)を避けては通れないんです。

 

 表面的にチームワークを良くする方法は、カンタンです。みんながチームのルールとか文化をちゃんと守って、言いたいことを言わなきゃいいんです。

 

 でも強くなりたいのなら。ぼくみたいに先輩から嫌われるようなヤツでも、戦力になるのならチームに組み込まなきゃいけないですし。チームを強くするための意見が互いに食い違っているのなら、ケンカしてでもそれを出し合って、擦り合わせていかなきゃいけないんスよ。

 

 その後の墨二中野球部も、軋轢(あつれき)を乗り越えていくことで強くなり、本当の意味でチームワークを深めていくことができました。

 

 次の丸井さんがキャプテンの代には、あの近藤をどうやってチームに組み込んでいくか(汗)。ぼくがキャプテンの時には、苛烈な練習に反発する松尾の母親を始め、周囲の大人達とどう折り合いを付けていくか。

 

 軋轢(あつれき)から逃げることなく、立ち向かい、克服する。それこそがチーム強化だといっても過言じゃありません。

 

 む……何だか今日は、うまくまとまりましたね。やっぱり、野球に関する話の方が、スムーズに進みます。次回もこんな感じで頼みますよ。では、また……

 

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