南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

敗戦を次に生かすことができる町田ゼルビア、また同じような負けを繰り返しそうなサッカー日本代表

 

 

1.チームとして問題点を修正できる町田ゼルビア

 

 J1リーグ第6節にて、町田ゼルビアサンフレッチェ広島に1-2と敗れ、今シーズンの初黒星を喫した。しかしこの敗戦は、むしろ町田にとってプラスに働くと思う。

 

 先に断っておくが、次戦以降町田が再び勝ち星を重ねることを保証しているのではない。サッカーは相手があるものだし、そろそろ研究・対策もされてきているはず。町田が良いプレーをしても、相手チームのパフォーマンスがそれを上回ることだってあるだろう。

 

 ただ勝敗は別にして、町田が一つの負けをきっかけにチームとしての歯車が狂い、転落していくことはないだろうと確信する。むしろこの敗戦も一つのデータとして、次戦以降の改善へとつなげていくはずだ。

 

 なぜなら町田には、“立ち返る場所”があるからである。

 

 町田に関する取材記事等の資料によれば、黒田監督は守備等における原則を定め、それをチームにきちんと落とし込んでいると聞く。実際、私が観戦した試合でも、選手達のポジショニングが非常に整備されており、まるでチーム全体が一つの意思を持った生き物のようであった。

 

 これだけ原理・原則が徹底されていれば、エラー(=改善点)を発見するのも容易だろう。少なくとも原理・原則が未整備なチームよりは、次同じようなやられ方をする確率は低いはずだ。

 

2.チームの問題点を修正する術がない日本代表

 

 翻って、日本代表である。

 

 森保一監督が戦術の仕込みをほとんど行わないというのは、すでに知られた話である。「もっと指示して欲しい」「戦術が欲しい」と訴える選手も複数出てきている。

 

 それで勝てていればまだ良かったのだが、周知の通り、日本代表は先のアジア杯にて準々決勝敗退という屈辱を味わった。

 

 さて、日本代表はあの敗戦から“どうやって”改善点を見出すのだろうか。

 サッカーYoutuberとして著名のレオザフットボール氏の言葉を借りれば、今の日本代表は「コンビニのアルバイトのマニュアルがない」状態である。

 マニュアルさえあれば、従業員の接客態度なり業務の進め方なりで何かしら問題点を見つけ、それを改善へとつなげていくことはできるだろう。

 

 しかし、そもそもマニュアルがなかったら? 従業員は何をいつどのようにすれば分からずパニックに陥り、店内はメチャクチャになってしまうはずだ。そしてそんな事態になっても、マニュアルがないのだから、次どこを改善すればいいのか分からない。また同じことの繰り返しになるのは目に見えている。

 

 森保一監督は、日本代表のコーチ陣やチームスタッフは、アジア杯敗退の原因をきちんと分析し、明確に把握しているだろうか。そして、次は同じ失敗を繰り返さないよう、修正すべきポイントを選手達に植え付けることはできるだろうか。

 

 できるはずがない、と私は思う。

 

 そもそもチーム内に原理・原則がないのに、どこが問題だったか等と明確に指摘できるはずがないではないか。またぞろ“個の力”などと曖昧な言葉で逃げるのではないか。それとも三苫薫の不調や伊藤純也の離脱のせいにして、後はほとぼりが冷めるのを待つだけではないか。

 

 すべて私の杞憂ならいい。だが実際は、報道等を見聞きする限り、すでに今述べたような兆候が起こり始めているようではないか。

 

 いや、日本代表の問題が劇的に改善する方法が、実は一つだけある。

 それは現状のベストメンバーが集結し、ベストコンディションで試合をすることだ。そうなれば、あれだけの力を選手達なのだから、あまり監督の力は必要ない。

 もっとも……そんな都合のいいことはそうそうないから、あのアジア杯では屈辱を突き付けられたわけだが。

 

 きちんとした原理・原則を持つチームは、もちろん好不調の波はあるにしても、組織として崩れることはそうそうない。

 

だから私は、町田が広島戦の敗戦を受けてどのように修正し、チームを立て直してくるかが、むしろ楽しみだ。

 一方の日本代表は、その時のメンバーやコンディションで望外の勝利を収めることはあるだろうが、組織として強くなることはほぼ期待できない。また同じような敗戦を繰り返すことになるだろう。

 

※追記 J1リーグ第7節、町田ゼルビアはアウェーで川崎フロンターレを1-0と下した。