- <はじめに>
- 1.選手起用の考え方
- 2.“野球の実力”って何!?
- 3.イガラシは自分自身の“実力”をどう見る!?
- 【関連リンク】
<はじめに>
みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。
夏の甲子園出場を賭けた地方予選の戦いが、いよいよ本格化してきましたね。さて、今回は高校野球でよく言われる事柄についての質問が届いていますので、紹介することにします。
けっこう深いテーマですので、よかったらみなさんも一緒に考えてみて下さい。
ペンネーム:ゆきみさんより。
―― 力が同じなら上級生を使うとか下級生を使うとかいう方針がありますが、どう思いますか?
ええと、ゆきみさんという方。かなり野球にくわしいようですね。ちとディープな話になりますが、せっかくなのでお付き合いください。
というわけで、今回のテーマは……
「イガラシくんは、選手起用をどのように考える!?」
1.選手起用の考え方
まず前提として、チーム状況とチーム方針の両方を考えなきゃいけません。
これは野球に限らず、学生スポーツに結構あることなんですけど……学年が1~3年生までありますよね。で、実力が学年順になっていれば問題ないんスよ。ところが実際には、上の学年よりも下の学年の方が、実力が上ってことが結構あるんですよね。
この場合、三通りの考え方があります。
一つ目。翌年以降を見据えて、力のある下級生に経験を積ませる。当然、力が同じであれば、下級生を使うということです。
二つ目。上級生のこれまでの頑張りを認めて、たとえ勝てる可能性が低くても、上級生の起用を優先する。もちろん力が同じであれば、上級生を使うことになります。
まあ、それぞれのチーム事情というものがありますし、いろいろな考え方もあるので、どっちが良い悪いという話じゃありませんけど。
ただ、ぼくは……好きか嫌いかで言えば、どっちの考え方も好きじゃありません。
で、三つ目です。
あくまでも“その年のベストメンバー”を組む。上級生も下級生も関係なく、その年に最も勝てる確率の高いメンバーを選ぶ。ぼくなら、そうします。
えっ、上の二つとどこが違うのかって? 分かります、そろそろ話がややこしくなってきましたよね。
2.“野球の実力”って何!?
ということで――ここらで、そもそも“野球の実力”って何かということを、今一度考えてみることにしましょう。
野球に限らず、スポーツではよく「心・技・体」という言葉が使われますよね。
ぼくはチームメイトや相手選手の力量をはかる時、この心・技・体の三つのモノサシで見るようにしています。
で、分かりやすいのが「技」――技術なんです。しかし、案外「心」と「体」が見落とされがちなんスよ。
抽象的な話が続いたので、ちょっと具体例を出してみましょうか。
例えば、サードのポジションを争っている1年生のA君、3年生のB君という二人の選手がいるとします。二人とも駿足で守備範囲も広く、強肩、難しい打球を捕球するグラブさばきも巧みです。また練習試合での打率も同程度。技術的には、本当に互角と言えます。
ところが――公式戦で二点リードの終盤。炎天下の消耗戦。ノーアウト一・三塁。サード正面へ高いバウンドのゴロ。
この場合、選択肢は複数ありますよね。バックホームか、二塁フォースアウトか、確実に一塁アウトか、ダブルプレーをねらうか。
どれが正解だと、一概には言えません。相手の打力、味方の投手の状態、こっちが追加点を取れそうか取れそうでないか。そういった状況を踏まえて、素早く判断しなければなりません。
そんな時にモノを言うのが、「心」と「体」なんですよ。
ロースコアの接戦で、平常心でいられる「心」。炎天下でも集中力を保ち、普段通りのプレーができる「体」……体力。
こういう、なかなか目に見えない部分も併せて“実力”なんスよ。
ですから――単純に上級生がいいとか下級生がいいって話じゃないと、ぼくは思いますね。ただし、ぼくの経験上、心・技・体を三つとも揃えているのは、やはり上級生が多かったです。
もちろん稀に、下級生でもこの三つを備えたヤツもいますけどね。そんなヤツがいれば、ぼくは迷いなくそいつを試合で起用します。
まあ、なかなか三つを備えたヤツはいませんけどね。技術はあっても心や体力に課題があったり、体力があっても技術が低かったり。なので現実的には、相手や状況に応じて、併用していくことになりますかね。
3.イガラシは自分自身の“実力”をどう見る!?
え、ぼくの“実力”ですか? うーむ……自分じゃ、三つとも足りないと思いますよ。
みなさんも知ってのとおり、ぼくはかなり短気ですし。体力も、自分なりに鍛えてはきたつもりスけど、ちょっと相手に粘られるとスタミナ切れを起こしちゃいましたし。技術的にも、まだまだ強豪校のエースクラスを打ち崩す力はないですし。
自信がないのか? まさか、そーいうつもりはないスよ。
というより、ぼくにとっての“自信”というのは「今できること」じゃなく、たとえ今できなくても鍛錬を重ねて「いつか必ずできるようにしてやる」ってコトなので。
ですから……東実の佐野だろうが、谷原の村井だろうが、ぼくの前に立ちふさがるヤツは、必ず打ち崩してやりますよ!
みなさんも、ぜひ楽しみに見ていてください!!
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