南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

イガラシくんの野球講座<第11回「イガラシくんが選ぶ、墨二中時代ベストナイン!!」> ~ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より~

 

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<はじめに>

 

 みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。今回はですね、ちとムズカシイ質問が送られてきました。

 

ペンネーム:MWRNBさんより。

―― 私からのイガラシ君への質問は「原作キャプテンの登場人物からイガラシ君が選ぶベストナイン」です。

 中1からの墨二のレギュラーで、様々なプレーヤーと関わってきたイガラシ君が誰を選ぶのか興味があります。所属中学や選出理由も教えてもらえると嬉しいです。

 

 ということで、本日のテーマは……

イガラシくんが選ぶ、墨二中時代ベストナイン

 

 

1.外野手は、チームメイトの3人!!

 

 えーっと、これは対戦相手も含めてってことスよね。じゃあ、まず外野、内野、バッテリーの順に発表していきます。

 

 まずライトは、同級生の久保ですね。

 個人的にずっと思ってるんスけど、あいつのバッティングは、おれと同じかそれ以上じゃないかって気がします。

 

 まず選球眼。あの井口との対戦で、真っすぐとシュートをすぐに区別しましたから。さらにスイングが柔らかいし、ミート技術も高い。もちろんパワーもあるし、おれとちがってリーチもある。近藤なんかより、ずっと頼りになりますよ(笑)。

 

 強いて言えば、もうちょい自信を持てばいいのにって思います。時々、ちょっと弱気になったりするんで、そこがもったいないスね。

 あれだけのセンスがあるので、井口や根岸を押しのけて、中学の時みたいにクリーンアップを務めるぐらいになって欲しいですよ。

 

 

 つぎ、センターは……一つ上の島田さんです。

 中学の時はライトを守ってましたけど、外野はどこでも守れます。駿足、強肩。あの人の守備には、何度も助けられましたから。

 それと高校に入って、バッティングもかなり腕を上げてますよね。スイッチヒッターでもあるし、相手バッテリーからすれば、攻め方を考えるのが難しいんじゃありませんか。

 

 あとは……やっぱり、人格者ですよ。

 ぼくが二年生の時の選抜大会で、試合前に近藤のヤツが「ライトを守ってるとこを人に見られたら恥ずかしい」なんて、ぬかしやがったでしょう。あの時は、さすがに島田さんも激怒してましたけど……試合後、エラーを重ねて敗戦の原因になった近藤に「疲れたろう、座れよ」なんて優しく声をかけるなんて。

 

 少なくとも、ぼくにはできませんね。えっ、ぼくならどうしたかって? 何も言わずに、学校に戻って、ヤツ一人にだけ外野ノックを三時間ぐらい続けますかね(笑)。って、冗談スよ。あれ、みなさん……また顔が引きつってますよ(苦笑)。

 

 

 つぎにレフトは、牧野ですね。島田さんと同じく、駿足・強肩。バッターとしても、選球眼に優れた二番打者です。また周りに目配りもできるタイプで、おれが卒業した後は、あの近藤のサポートをがんばってくれてるようですよ。

 ただアイツ、丸井さんに似て、ちと融通に欠けるトコがあるんで。もうちょっと柔軟に考えることができれば、リーダーとしても力を発揮してくれると思います。

 

 

2.内野手は、絶対に外せない“あの二人”

 

 そしてショートは……ぼく(イガラシ)、って言うしかないスかね(笑)。墨二中時代のポジションで言うと、サードかセカンドなんですけど。その二つは、絶対に外しちゃいけない人なんで。

 ついでに言うと、ほんとは曽根を入れたいところなんですけどね。守備はもう言うことないんスけど……バッティングが、まだ少し物足りないかなあ。特に変化球のさばき方、もうちょい練習して欲しいですね。

 

 

 さて、いよいよサード。ここはやっぱり、谷口さんしかいません。

 あの人のすごさについては、今さら語ることもありませんがね。誰よりも懸命に努力する姿、それによって周囲の人間の気持ちさえ変えてしまう力。

 あの人がいなけりゃ、ぼくらの代での選手権優勝はなかったと思います。それだけの影響力をチームに残してくれました。

 谷口さんのことは、ほかの講座で語ってるので、詳しくはそちらをご覧ください。

stand16.hatenablog.com

 

 

 で、セカンド。やっぱり……ここは丸井さんしかいません!

 何と言っても、あの人の負けん気の強さ。そして自身やチームが逆境の時にこそ、一所懸命になれる精神力の強さ。なんだかんだ言って、谷口さんがキャプテンとして指名しただけのことはあります。

 

 それに卒業してからも、選手権前の合宿や練習試合の手配なんかで、ずいぶんとお世話になりました。まあ正直、ちょっとうっとうしいと思う時もありましたけど(笑)。あそこまで面倒見のいい先輩って、そうはいないので。とても感謝してますよ。

 

 ただ……ひとつだけ、言わせてください。ぼくは家に帰って、弟の慎二の前で、丸井さんの自慢なんて一切してません!! そこだけは、強調しておきます(笑)。

 

 

 次にファースト。ここも不動で、加藤さんスね。

 堅守かつ駿足巧打の左バッター。痛烈なライナーやゴロ、ショートバウンドの送球も難なく捕球してくれるので、目立たない所で何度もチームを助けてくれてました。

 あ、そうそう。ついでに言っておきたいんスけど……よく「ファーストは捕るだけ」とか言って、守備のあまり巧くないヤツとか、ファースト経験のないヤツを簡単にコンバートする風潮、どうにかなりませんかね?

 

 ファーストって、すごく重要ですよ。

 いつも捕りやすい送球がくるとは限りませんし、バントの時はダッシュを繰り返さなきゃいけないですし。それに一塁線を破られると、ほぼ長打ですし。

 よく他の学校が、打力があるからって守備の下手なヤツをファーストに着かせたりしますけど。ぼくとしては、ラッキーって思いますね。ちょっと小ワザで揺さぶれば、カンタンに自滅してくれるので。

 

 

3.バッテリーは、墨二の前に立ちふさがった“あの強敵”二人!!

 

 さて……いよいよバッテリーを残すのみですね。

 

 まずキャッチャー。ここは選手権決勝で戦った、和合中の森口を推します。

 和合との決勝戦。うちも満身創痍の状態でしたけど、相手の和合もけっして万全じゃなかったんスよ。後で聞いたら、プレッシャーで体調を崩す選手が続出してたらしいですし。

 

 何より、あの日は雨天で足下が悪くて、相手エースの中川は投げづらそうにしてましたよね。中川のような、長身で投げ下ろすタイプの投手は、足場が悪いとモロに投球に影響が出るんスよ。

 

 しかし、中川がちょっと崩れそうなタイミングで、あの森口がことごとく声を掛けて、その芽を摘み取ってました。おかげでこっちは、終盤までチャンスらしいチャンスを作れませんでしたからね。

 

 いかに強豪校のレギュラーであっても、所詮は中学生です。ぼくらと準決勝で当たった南海中のキャッチャー片岡なんか、近藤の挑発に乗って、退場しちゃったでしょう。やっぱり動揺すると、平静さを保つって難しいんスよ。

 

 ところがあの森口は、動揺する気配すら見せなかったですよね。

 ピンチの時、味方に冷静に指示したり、エース中川が投げ急ぎそうになるのを制したり。監督に対しても、自分の意見を堂々と進言してましたし。まさに“扇の要”。敵ながら、ほんとうに素晴らしいキャッチャーでした。

 

 

 最後にピッチャー。これね……ショージキ、ちと言うのはシャクなんですけど。まあ客観的に見て、認めるしかないので。

 

 ええ、井口源次です。

 

 中学の三年間で、地区予選と全国大会で、色々なピッチャーと対戦しましたけど。やっぱりアイツのボールが一番、威力がありました。

 あの快速球といい、直角に曲がるシュートといい、それらを自由自在にコーナーに決めてくるコントロールといい。とても中学生の投げるタマとは思えなかったですよ。

 

 もちろん井口以外にも、対戦した中で優れた投手は何人かいましたよ。例えば青葉学院の佐野、南海中の変化球投手・二谷、和合中の中川

 

 その中で、なぜ井口を選んだかと言いますとね。

 まず佐野は、前もって対策して、ある程度攻略できたので。それと全国大会で対戦した二谷と中川には、確かに抑え込まれましたけど、あの時はぼくらのコンディションも良くなかった上に、事前に偵察して研究する時間もあまり取れなかったんスよ。

 ところが井口は、ヤツの投球練習も見に行って、対策にかなり時間を割いたにも関わらず、九回までに2点取るのがやっとでしたからね。

 研究してもカンタンに攻略できなかったので、これはもう認めるしかないでしょう。でも今の話、アイツには言わないでくださいよ。調子に乗りやがるんで(笑)。

 

<まとめ ~イガラシ選・墨二中時代ベストナイン~>

   1(二)丸井

   2(一)加藤

   3(遊)イガラシ

   4(三)谷口

   5(右)久保

   6(投)井口

   7(捕)森口

   8(中)島田

   9(左)牧野

 

 

 【関連リンク】

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