南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

一つの物語が終わり、また始まる…… ~ 日本サッカー、新たな旅路へと ~

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 非情のホイッスルが鳴った瞬間。ピッチ上、次々と倒れ込んだ選手達の仰いだ先に、夏の夜空があった。切ないほど美しい、漆黒が広がっている。

 

 なぜか自然と、12年前のドルトムントを連想してしまう。

 束の間の歓喜、そしてラスト45分間に展開された絶望の光景。ピッチに崩れ落ちたチームの象徴・中田英寿――彼を助け起こそうとする手がないばかりか、近寄ろうとする者さえほぼ見られない。それは1-4という失望のスコア以上に、見る者の心を寒々しくさせるものだった。

 

 あれから12年。中田の後継と目され、彼と同様に日本代表の象徴としてチームを引っ張ってきた本田圭佑。その結末は、ある意味でドルトムント以上に衝撃的なものだった。が……後に見られた光景は、まるで別のものだった。

 

 12年前のVTRが、ロシアの地で繰り返されることは、なかった。ピッチ上で泣き崩れる若手選手を励ましていたのは、今回が最後のW杯となる本田自身だった。敗北の痛みは変わらなくとも、微かな安らぎはある。直前までの激闘が幻だったかに思えるほど、それは穏やかな光景で……

 

  歴史を重ねるということ。それは私達が、一つの物語を共有しながら、歩んでいくということ。

 

 再び、漆黒の夏空。何度も叩いた芝の感触が、匂いが、未だ漂う熱気が――テレビ画面越しにも関わらず、妙に生々しく伝わってくる。

 

 確かに敗れはした。それでも彼我の実力差を鑑みれば、まさに大健闘と言える試合内容だった。今や日本のみならず世界中のサッカーファンが、日本代表の戦いぶりを讃えている。

 

 だが、常勝を義務付けられたチームで育った彼には、“惜敗”“大健闘”などといったフレーズは、何の慰めにもならなかったはずだ。

 

 それでも、胸を張って帰ってきて欲しい――日本の若きDF(ディフェンス)リーダー・昌子源

 

 決勝トーナメントでの敗戦を本気で悔しがり、流した君の涙は、その思いは、ここから四年間の日本サッカーの、強いエネルギーとなる。願わくは、今度は君の流す涙が、“歓喜の涙”となりますように。

  

 祭りが終わり、また日常が還ってくる。時に笑い、時に泣き、時に悲しみ、時に笑い。そうした日々の積み重ねが、新たな歴史を作っていく。喜びも悲しみも、怒りも安らぎも、屈辱も栄光も。……それらすべての思いが、やがて血肉となり、心の拠り所となり、いつの日か私達を未知の世界へと導いてくれる。

 

 さあ、立ち上がろう。日本サッカー、新たな旅路へと――