南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

極めて現実的な予想――サッカー日本代表の次期監督候補と、求めたい要素について

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 気の早い複数のスポーツ紙が、次期サッカー日本代表監督は元ドイツ代表監督のユルゲン=クリンスマン氏で決定的だと報じている。本人は、噂を否定したらしいが。

 

 私はこの報が、日本のメディアお得意のガセネタ・飛ばしの類であることを祈る。海外メディアによると、あまり評判も良くない。実際の手腕がどうかは別にしても、日本サッカー協会がもし本当にクリンスマンを招聘する気だとしたら、ハリルホジッチ解任に至る経緯とW杯本大会へ向けたチーム作りの過程から、何を学び、今後の強化にどう繋げていくのか、また不透明になってしまう。

 

 これは、単に日本人監督が良いとか外国人監督は良くないとか、そういう次元の低い話をしているのではない。今回のW杯における健闘で、ようやく“日本らしいサッカー”を形作る手応えを得たのだから、その流れを如何にしてスムーズに引き継いでいくか――ということが、次期監督の選考に求められる最重要課題のはずだ。

 

 一体何のために、世間からの批判覚悟で技術委員長だった西野朗氏を“暫定監督”に据えたのか。やろうと思えばコーチ陣の中から内部昇格させる手もあったのに、なぜしなかったのか。

 

 それは間違いなく、西野氏が結果の責任を引き受けることで、後任(になるかもしれない)の者の指導者としてのキャリアを傷付けないためだろう。であれば、後任候補はほぼ絞られてくる。

 

 まず筆頭候補として挙げるべきは、リオ五輪の日本代表監督も務めた手倉森誠コーチだ。

 

 五輪本大会でのグループリーグ突破こそ果たせなかったが、それまで下のカテゴリーでことごとく世界大会出場を逃してきた当時のU-22の選手達を、ノックアウト方式の厳しい条件下で本大会出場に導いた手腕は、高く評価されるべきものである。

 

 さらには、A代表にもコーチングスタッフの一人として長らく帯同しており、チーム事情にも精通している。“継続性”を重視するのなら、彼こそ最適任である。

 

 世界大会での実績も考慮に入れるなら、現技術委員長の関塚隆氏も候補となる。ロンドン五輪での快進撃は、記憶に新しい。しかも当時の主要メンバーが、次のカタールW杯における主力となるから、選手達との意思疎通も問題ない。また、今回のW杯にも技術委員長として帯同しており、手倉森氏と同じくチームの内情にも通じている。

 

 若い世代への引き継ぎを考慮するなら、現U-21代表監督の森保一氏も忘れてはならない。世界大会での実績こそないが、Jリーグでサンフレッチェ広島を二連覇に導いた手腕は疑うべくもない。さらには、彼もまたA代表のコーチングスタッフの一人として、今大会には帯同している。五輪代表監督との兼任は、今までなら予選の日程の関係で難しかったが、幸い今回は五輪の予選がない(自国開催)ため、本人さえその気なら十分可能だろう。

 

 以上のように、上記3名の中から選ぶのが妥当だと思われる。個人的には、一時離れていたにも関わらず、再度A代表のコーチングスタッフに呼び戻した流れから見て、手倉森氏が次期監督に就任すると予想するが、果たして。

 

 最後に――あえて、日本サッカー協会を擁護してみよう。

 

 これまで、よく言われてきた協会批判の一つに、「強化方針に一貫性がない」というものがある。これは確かにその通りで、歴代監督を振り返ってみても、まるでタイプの違う人物が並び、監督が変わるごとにチームのスタイルが一新されてしまっていた。

 

 だが、それは「仕方なかった」ことだと私は思う。なぜなら、日本サッカーは歴史が浅く、誰も日本代表が「こうすれば勝てる」という確固たる答えを示すことができなかったからだ。やれパスサッカーだの、走るサッカーだの何だのと、意見は交わされてきたが、どれも“仮説”の域を出なかった。これでは、方針がブレてしまうのも無理はない。

 

 もっとも「仕方がなかった」と言えるのは、このロシアW杯を最後にもはや過去のものとなった。完成形ではないにせよ、日本代表が今大会において、魅力的なジャパン・スタイルというものを見事に表現してくれたからだ。

 

 だから、もう同じ失敗を繰り返してはならない。繰り返さないだけの材料を、日本サッカーはついに手にすることができたのだから。無駄にしてはならない。……