南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

ちばあきお「プレイボール」に”もし”続きがあったら!? ー丸井キャプテン編(その1)ー

<はじめに>

 基本的に、ちばあきお「プレイボール」は谷口タカオが主人公で、彼がプレーヤーでなくなると同時に物語を完結すべきだと思っています。

 その前提の上で……もし、キャプテンが谷口くんから丸井くんへと受け継がれていたら、物語はどのように進んでいたでしょう。

 今回は、キャププレファンなら誰もがしたことがあるだろう妄想を、自分なりに形にしてみました。

 といっても、前述の通り谷口君がプレーヤーでない「プレイボール」はありえないと思っていますので、小説は書きません。下書きのような形にします。個人的なこだわりで恐縮ですが、それでも良ければお楽しみいただければうれしいです。

 

ー秋季東京都大会ー ※原作に合わせ、東西は分けていません。

 

<墨高新チームオーダー

1(中)島田

2(二)丸井

3(右)久保

4(遊)イガラシ

5(投)井口

6(捕)根岸 

7(三)岡村

8(一)加藤

9(左)高橋

【控え投手】松川、片瀬(イガラシ、井口)

 

「秋季東京都大会」1~4回戦

 1回戦 不戦勝

 2回戦 不戦勝

 3回戦 墨高 12―0 江戸川実業 ※五回コールド 【墨】井口、イガラシ

 4回戦 墨高 14-0 向島 ※五回コールド 【墨】松川、片瀬

 5回戦 墨高 8-0 城東 【墨】井口、イガラシ

(戦評)

 チームの象徴にして絶対的なキャプテン・谷口が抜けて心配された新チームだったが、周囲の懸念をよそにチームは快進撃。3,4回戦を難なくコールド勝ちで突破する。続く5回戦は好投手・大橋擁する城東とのシード校対決となったが、投打が噛み合い完勝。難なく二季連続の8強進出を決めた。 

 

 

 準々決勝           R H E

  墨高 523000001  9 11 0

 専修館 000032200  7 15 0

【墨】井口、松川、井口-根岸 【専】※※-※※

本塁打>井口

 

(戦評)

 シード校同士の一戦となったが、試合は序盤から墨高打線が爆発。最大8点のリードを奪い、コールド勝ち確実と思われた。

 ところが中盤以降、井口が専修館打線に集中打を浴びる。元々夏の大会以降、疲労からか制球の甘さを心配されていたが、的中する格好となった。リリーフした松川も相手打線の勢いを止められず。

 しかし八回裏、井口が志願し再び登板すると、今度は専修館打線を寄せ付けず。九回表には自らダメ押しとなるホームランを放ち、辛うじて苦戦を制した。

 試合には勝ったものの、井口、松川という主軸投手が打ち込まれ、今後に不安を残す試合内容となった。

 

 準決勝

  明善 0000000000  0

  墨高 0000000004×  4

【墨】イガラシ-根岸 【明】※※-小室

本塁打>イガラシ

(戦評)

 イガラシらと小室、墨谷二中出身者の“同窓会対決”として注目が集まった試合は、序盤から緊迫した展開となった。

 

 墨高の弱点を知り尽くす明善は、守ってはイガラシ井口を敬遠攻めにして後続を断ち得点を与えず。打っては球数を投げさせたり小技を使ったりするなど、ありとあらゆる手でイガラシの体力を削っていく。

 

 それでも今の墨高は根負けしない。迎えた十回裏、専修館の投手を攻め立て満塁とすると、この場面ではさすがにイガラシを敬遠できず、勝負にいったところを満塁ホームラン。熱戦に決着を着けた。

 

 しかし、勝った墨高もイガラシが十イニングを投げ200球以上を投じ、翌日の決勝戦では投げられないことが確定。不安を残す結果となった。

 

 決勝              R H E

  墨高 1000000101  3 10 0

  東実 0000000013× 4 8 0

(墨)松川-根岸 (東)佐野-村野

本塁打>イガラシ、佐野

(戦評)

 大差が付かなければ来春の選抜出場が決まる一戦。前日の激闘の疲れもあり、どこか気楽なムードの漂う墨高と、夏の雪辱に燃える東実との温度差のあるゲームとなった。

 

 それでも夏の甲子園を経験した墨高の底力は凄まじく、初回から本気の東実を圧倒。

 初回にイガラシのタイムリーツーベースで先制すると、七回表には加藤のスクイズで追加点。力投の松川は八回裏に不運なポテンヒットで1点を失うも、直後の九回表にはイガラシのダメ押しとなるホームランで3-1。勝負は決したかに見えた。

 

 ところが、ドラマはここから待っていた。

 

 九回裏。東実は一死から意表を突くセーフティバント。続く打者がヒットエンドランを成功させ一・三塁。続く三番村野は犠牲フライで1点を返すに留まるも、迎えるは4番佐野。

 ここまで何度も墨高ナインに苦汁を飲まされてきた“悲運のエース”の意地の一振りは、ライトスタンドギリギリに飛び込む逆転サヨナラツーランホームラン。

 

 がっくりと膝をつく墨高ナインとは逆に、喜びを爆発させる東実ナイン。両校とも翌春の選抜甲子園出場をほぼ手中にしているとはいえ、その姿はあまりにも対照的だった。

 

<まとめ>

 順調なスタートを切ったかに見える新チームに、思わぬ落とし穴が。それでも墨高ナインは来春の選抜大会、そして夏の県大会へと進んでいく。彼らを待ち受ける結末とは!? (その2)へ続く……