南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

完敗——川崎フロンターレ3-1鹿島アントラーズ<戦評>

 1-3。文字通り、完敗だ。両チームのパフォーマンスの差が、そのままスコアに表れた結果だろう。

 

 鹿島の選手達の動きが、若干重いように感じられた。例えば競り合いの時、今までなら相手より一歩先に体を入れられていたものが、僅かながら遅れてしまう。そのためファールで止めるしかなくなったり、相手に守備網を突破されてしまったりといった場面が目立った。

 

 それでもスコアレスで折り返していれば、後半で巻き返す最近の必勝パターンに持ち込めたが、前半アディショナルタイムにカウンターから右サイドを破られ、先制を許してしまった。さらには後半立ち上がりにも阿部浩之ミドルシュートを決められ、またも失点。

 

 慢心があった、とは思わない。アウェーでの上位対決だ。しかも前回、ホームで03と敗れたリベンジ・マッチだ。さらに、前節首位に立って迎えた試合である。

 

 ただ、前節のヴィッセル神戸戦辺りからだろうか。好調時には、まるでピアノ線のように張りつめていた守備網に、緩む瞬間が生じるようになっていた。

 

 連戦による疲労の蓄積か。それとも勝ち続けていたことで、心にほんの少し隙が生まれてしまったか。いずれにせよ、マークがずれ、決定的なシュートを打たれる。下位には誤魔化せたが、さすがに上位チームは見逃してくれなかった。

 

 一方の川崎フロンターレは、ほぼベストパフォーマンスだったように思う。

 

 敵陣でのパスワークは秀逸で、さらにはボールを奪ってからのカウンターにも威力があった。また、例年守備に課題があると言われているが、この日は球際でしっかりと体を寄せ、鹿島の選手達を自由にさせなかった。

 

 潔く、相手を称えたい。この日の川崎は、勝者にふさわしい戦いぶりだった。長いシーズン、時には敗北を受け入れなければならないこともある。

 

 大事なのは、これからである。

 

 結果論ではあるが——今日のようにハイテンションな試合では、小笠原満男を先発させた方が良かったかもしれない。

 

 どうしても“我慢比べ”のような時間が長くなるからだ。その点、レアンドロやレオシルバは、上手くいかない時のリアクションが正直すぎる。もっと先の展開を見越して、試合全体をコントロールできる存在が必要だったのではないか。

 

 また、今のところ昌子源のパートナーは、植田直通がファースト・チョイスとなっているが、相手やコンディションによってはブエノを起用したり、ボランチ三竿健斗を一列下げたり、といった選択肢も考えられる。

 

 そういった事項も検討した上で、次戦以降の戦いに備えて欲しい。幸い、次は5日間空く。少なくとも今節よりは、良いパフォーマンスを発揮できることと思う。

 

 繰り返すが、これからが大事だ。今節取り逃がした勝ち点3を、次の清水エスパルス戦できっちり取り返せるか。

 

 そしてここから、大岩剛監督の手腕が試されることとなるだろう。さすがに何ヶ月もハイパフォーマンスを維持できるほど、サッカーは簡単なものではない。好調時と比べてチームが下降気味なことも踏まえて、どう立て直していくか。このままズルズルいくようなら、監督交代の意味がない。

 

 とはいえ、一本調子の“強さ”は脆い。良い時期だけでなく、悪い時期も乗り越えてこそ、チームとしての芯は太くなる。それが現体制にできるかどうか、引き続き注目していきたい。