前後半通じて、シュート数は実に30本を数える。後半に入ってからは、ほぼ一方的に相手を押し込んだが、あまり点が入る気はしなかった。正直、引き分けだろうなと。
もちろんガンバ大阪の井手口陽介や三浦弦太の守備対応が素晴らしく、最後まで体を寄せなかなかフリーにさせてもらえなかった面はある。ただそれ以上に、シュートにしてもパスやクロスにしても、今一つ精度を欠いていたからだ。
やはり、中二日という過密日程の影響は少なくないと感じた。
一瞬の隙を突かれて先取点を奪われた場面が象徴的だったが、GK曽ヶ端準のフィードに反応する選手がいなかったり、何でもないショートパスがずれてしまったりするなど、どこかエアポケットに入ってしまったようなシーンが目に付く。
この試合に限らず、鹿島アントラーズのここ数試合に見られる傾向だ。選手達は絶対口にしないだろうが、やはり心身の疲労が蓄積しているように思う。特に昌子源、植田直通はW杯予選で日本代表にも召集されていたから(とりわけ昌子は二試合フル出場している)、休む暇がなかった。こういう時は、ミスも出やすい。
逆に言えば、本来のパフォーマンスでないながら、よく勝っている。結果としては5連勝。二位との勝ち点差を8に広げた。天皇杯でも準々決勝へ駒を進め、昨年に続く二冠も十分射程圏内だ。
どこかで取りこぼしてもおかしくなかったが、それでも勝ち切ってしまうところは、やはり「強くなった」と思う。開幕前に鈴木満強化部長が言っていた、「今年は“力”で勝つ」ということが形作られているのではないだろうか。
次の鳥栖戦を乗り切れば、二週間空く。そこで一度リフレッシュして、また本来のパフォーマンスが取り戻せるようにして欲しい(昌子と植田は代表招集される可能性が高いが、特に昌子はどこかで休ませられないだろうか)。
そして、あと七試合……ではなく、“目の前の試合”を一つ一つ勝っていく。他のどのチームよりも「勝負の怖さ」を知っている彼らに、慢心ということはないだろうが、優勝への重圧や過密日程による疲労といった厳しい状況をどう乗り越えていけるか。若干の心配はありながらも、期待して引き続き見守っていきたい。