南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

霧散した「鹿島らしさ」――またしても露呈した、現体制の”限界”

 

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 今週より、約二ヶ月ぶりにJリーグが再開された。

 

 我が鹿島アントラーズは、またしても「らしくない」戦いぶりで、勝ち点3を取り逃がした。後半に2-1とリードを奪ってから、稚拙な試合運びで再逆転を許す。本来の鹿島であれば、絶対にあってはならない事態だが、この頃痛苦すら感じなくなってきた。

 

 いや、正直に言おう。もはや私は今、試合の度に、鹿島の「負け」を願っている。悲惨な内容で、コテンパンにやられて構わないとさえ思う。

 

 理由は単純で、中途半端に勝ってしまえば、その分だけ現体制が延命されてしまうからだ。早く終わらせてしまった方が良い。今のチーム状況は、単に勝った負けたで一喜一憂していられるレベルにない。現体制は、もう限界だ。

 

 失点シーンには顕著だった。カウンターを浴びたわけでもなく、人数は揃っているにも関わらず、守備時における連動した動きがないため、数本のパスで簡単に守備網を破られている。レギュラーCBである昌子源植田直通の二人を欠いていたこととは、無関係だ。あのように杜撰な守備対応では、誰が出場しても同じである。

 

 これは、チームとしての守備戦術の問題だ。つまり戦術を授ける首脳陣、はっきり言えば大岩剛監督の無策が原因だと指摘せざるを得ない。

 

 一体どうしてしまったのか。鹿島といえば、組織化された“堅守”と、ボールを奪ってからの“速攻”がウリだったはずだ。3連覇を果たした09年以降の世代交代期を経て、昌子や植田を筆頭に若手が成長し、そして16年の大逆転でのリーグ制覇とクラブW杯での躍進で、やっと結実したはずだった。それが石井前監督を解任し、大岩監督に代わってからの僅か1年ちょっとの間で、跡形もなく霧散してしまった。

 

 大岩監督だけに責任を押し付けてはならない。彼は確かに力不足だったが、そもそも監督未経験だったのだから、始めから分かり切っていた。

 

 優勝を逃したこと、従来の鹿島であれば勝てた試合で勝てなくなってきたことから、今季の低迷は十分予想できた。にも関わらず、監督交代など必要な手を、なぜ何も打たなかったのか。以前、鈴木満強化部長は言っていたはずだ――DAZNの参入により、これから勝ち組と負け組がはっきりしてくるから、優勝しなければならない、と。

 

 是が非でも優勝しなければならない時、なぜ「失敗した」「経験の浅い監督」でシーズンを戦おうとしているのか。これも鹿島らしからぬ判断の甘さが、まったく理解できない。

 

 ここへきて、鹿島はジーコをテクニカル・ディレクターとして招聘することを決めた。これ自体は嬉しいし、また良い決断だったと思うが、遅すぎる。これはシーズン開幕前にすべきことだったのではないか。大岩監督のまま今季も戦うと決めた時点で、ヘッドコーチのようなポジションを置き、戦術面などで補佐する。このような体制でスタートしていれば、現状のような体たらくはなかったかもしれない。

 

 今季のリーグ優勝は、ほとんど絶望的だ。またしても他クラブに資金面で差を付けられるだろう。ただ今さらそれを悔やんでも、仕方がない。

 

 ならば、せめて取り戻して欲しい――鹿島のサッカー、鹿島の“哲学”を。