南風の記憶

沖縄の高校野球応援! また野球小説<「続・プレイボール」ーちばあきお原作「プレイボール」もう一つの続編」連載中。俳句関連、その他社会問題についても書いています。

イガラシくんの野球講座<第30回「フォアボール(四球)は、なぜ得点に結びつきやすいのか!?」ちばあきお『キャプテン』『プレイボール』より>

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<はじめに>

 みなさんこんにちは、墨高野球部のイガラシです。

 今回の講座では、高校野球だけでなくプロ野球の試合でもよく言われること現象について、ぼくなりに解き明かしてみたいと思います。

 ということで、今回のテーマは……

 

「フォアボール(四球)は、なぜ得点に結びつきやすいのか!?」

 

 残念ながら、ぼくちょっと忙しくて、プロ野球の試合を見るヒマはあまりないんですよ(苦笑)。なので高校野球に限った話しかできないのですが、たしかに四死球絡みで点が入るケースというのは、よく見かけます。これ、明らかな原因があるんですよ。

 

1.投手がストライクを取れなくなる理由

 まあ地方大会の一、二回戦レベルなら別ですが、だいたい準々決勝以降の試合ともなると、各校の主戦投手というのは、それなりに実力のある投手ばかりです。

 それがなぜ、試合ではストライクが入らなくなるのか。

 

 簡単に言えば――投球フォームが少なからず崩れてしまっているからなんですよ。

 

 準々決勝辺りまで勝ち進んでくる投手ともなれば、普段のフォームで投げさえすれば、ストライクは取れるはずなんですよ。それができないということは、どこかしらフォームがおかしくなっているということです。原因は緊張とか疲労とか気負いとか、色々ありますが。

 

 思ったコースに投げられないとなると、当然焦りますよね。その結果、四球で出塁を許してしまった。すると、投手心理としてはどうなるか……「まずストライクを取らなきゃ」と考えるわけです。

 

 そこで四球の後のバッターには、どうしても一球目からストライクを取りにいこうとしがちになります。しかしそのボールは、普段のフォームじゃないので、球威がない――いわゆる“置きにいったタマ”になっちゃうんですよ。

 

 そんな球威のないタマを、強豪校のバッターに投げればどうなるか、言わずもがなですよね(笑)。四死球でピンチを招いた後、ストライクを取りにいったタマを痛打される……よくあるパターンです。

 

 最悪なのが、連続四死球でランナーを溜めた後に、一発長打を喰らうケースです。長打を浴びるとますます腕が縮こまって、またストライクが入らなくなる。それを繰り返すと、あっという間に大量点を奪われてしまいますからね。

 

2.ピッチャーがストライクを取れない時の対処法

 じゃあ、そういう時はどうすれば良いのか。

 方法は色々あると思いますが……ぼくがキャッチャーなら、ひとまずど真ん中にミットを構えて、思いきり腕を振るように指示します。さっきも言ったように、置きにきた球威のないタマを狙い打ちされたら、ひとたまりもないですから。

 ど真ん中にミットを構えても、コントロールが定まっていない状態だと、適当にタマが散らばってくれるんですよ。一球でもストライクが入れば、それだけでピッチャーは少し力が抜けて、逆にバッターの方が焦ってきたりしますから。

 

 あ、もちろんピッチャーへの声掛けも大事です。「おれのミットだけ見ろ」とか、「おまえは一人じゃない。バックを信じて思いきり投げろ」とか。だいたいストライクが入らない時というのは、ピッチャーがプレッシャーで腕が縮こまっていることが多いですから。少しでも勇気を出してもらうような言葉を使うといいでしょう。

 

<終わりに>

 えっ、ぼくがキャッチャーだった時ですか? そうだなあ……

「こらてめえ。ろくにストライクも取れないヤツが、ピッチャー名乗ってんじゃねえよ。もう限界だっつうんなら、今すぐ自分で監督に言ってこい。ついでに、明日から練習にツラ見せんなよ。それが嫌なら、ちゃんと投げろ。分かったか!」

 

(会場、一気に凍り付く)

……って、冗談スよ、冗談(苦笑い)。まあ、激励でちょっと厳しいことを言うこともありましたけど。それもあくまで、ピッチャーの気持ちを奮い立たせるためスよ。

 ぼくがそんな、ピッチャーを脅すようなこと言うと思います?

 

会場一同:むしろ、脅ししか言わないだろう!!